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レインside↓
…….やってしまった…
「はぁぁぁ…..」
歩きながらため息を吐く。
まさかこの俺が未成年に手を出してしまうとは、考えてもいなかった。
俺がよく行くようになったケーキ屋。そこに毎日バイトに来ている学生。
名札には「マッシュ・バーンデット」
寄りにもよって俺の弟、フィンの1番の友人とは…..
「…..」
…名刺まで渡し、しかも俺の電話番号まで…どれだけ俺は軽い男だったのか…
…媚びてくる女や、男には慣れていたはずだったが…いや、あいつは違う。純粋に仲良くなりたいと伝わって来る…..フィンから聞いた通りの優しい青年だ。
と、考えていたらいつの間にか会社まで来ていた。
「…どうかしたか?」
「…オーターさん…」
この人は一応上司のオーターさんだ。
部署がちがうはずだが…
「少し書類の整理にな、最近そのコーヒーをよく持ってきているが…行きつけか?」
「…まぁ、はい」
「…その…そこにかいてある化け物のような絵はなんだ…?」
「…….うさぎのつもりで描いたそうです」
「…そうか」
オーターさんは俺が大のうさぎ好きなことを知っている、数少ない人なのだが、確かにこれを見たら小さく可愛らしいうさぎではなく化け物と思ってしまうのも無理は無い
「…私は行く、じゃあな」
「あ、はい」
…なんのために俺のところに来たんだ…
そう思いながら俺は仕事に取り掛かった。
「ただいま、フィン」
「あ!おかえりなさい兄さん!ちょうどいいところに!」
スマホを片手にパタパタと玄関まで走ってきた。…かわいい…
「マッシュくんから電話だよ!」
「…何?」
「あれ?兄さんマッシュくんと知り合いでしょ?」
「…知り合いという程でもないが…」
「とりあえず変わって!はい!」
弟に強引にスマホを押し付けられた…仕方ない。挨拶でもしておこう。
「…もしもし」
『…えっと…レイン…くんですか?』
そう、すこし恥ずかしそうに俺の名前を呼んだ。…不覚にもきゅんとしてしまったのは黙っておこう。
「あぁ、そうだが」
『レインくん、フィンくんのお兄さんだったんですね、初めて知りました』
「…言ってなかったか…」
まぁそれもそうだ、一応、ただの店員と常連の客だ。誰が店員に家族のことをペラペラと喋るのか。
『レインくん』
「なんだ?」
『…僕、うさぎ描くのたくさん練習しました。だから…また明日来てください…今度は可愛く描きますから…』
「…….わかった」
『ありがとうございます、おやすみなさい。フィンくんにも言っといてください』
「あぁ、…おやすみ」
『…..』
プツッと電話の切れる音がした。
…..まずい…これはまずい…
「…可愛いがすぎるだろ…」
フィンと同い年と言うことは19歳、歳は3つ離れている…ギリギリ未成年じゃない。
いや、手を出すのはよくはないが…..もしあちらに好意があるのなら付き合うまでは行けるのではないか?
…..男に好意を持ったのは初めてだな…
「兄さん、マッシュくんに酷いことしたら許さないからね」
「…….善処する」
弟からの強烈なお叱りを受けないようにゆっくり距離を詰めていくことにする。
…..明日が楽しみだ。