僕はパチンコ跡地に向かっていた。
ちょっと待てよ、ストップストップ!
加藤は俺と何かの取引をしていて、組の金をくすねるなんてリスクを犯すわけがない。それも密告したのは、新井の話だと咲って女だ。
咲は加藤の女で密告するわけがない。新井が怪しい、色々な意味で新井は怪しい。
ただ咲と新井ができていて、加藤をはめている可能性もある。
くそ、もっとVシネみとけばよかった。893さんの展開が読めねぇよ。
とにかくキーマンは咲だ。
14時まで30分あるなぁ。
腹減ったし、なんか食うか。僕は牛丼特盛を5分でたいらげた。
待てよ、この隙に実の自分と入れ替わっちまえば、僕はサヨの家にむかった。
何ヒーローぶってんだ、僕はただのニートだ。ヒーローだって年中無休じゃねぇよ。
なんとかサヨのアパートにたどり着いた。
「ピンポーン」
「ピポピポピポーン」反応がない。
まさか留守?
くそ、携帯の番号もわからないし、連絡手段がない。。まずい14時まで15分。
パチンコ跡地にいくしかねぇ。僕は牛丼特盛をお腹の中でシェイクしながら走った。
「はぁ はぁあぁ」やっとついたが戻しそうだ。気持ち悪い。
「武田さん、大丈夫ですか?」シゲ
「どうしたんすか?」
「大丈夫だ、シゲ咲のところに案内しろ」僕
10年くらい前に潰れたパチンコ跡地、建物は残っているが、中は荒れ放題。
女が椅子に結束バンドで繋がれている。猿履のせいで会話できね。
コイツが加藤の女か、なかなかエロい体つきだな。
「シゲ猿轡を外せ」
「へぃ」
「いやちょっと待て」
咲が新井と組んでた場合、まずいことを言いそうだ。
考えろ、考えろ、頭をつかえ。
「シゲ、新井にはこの事、報告したのか?」
「何言ってんすか?報告できるわけないじゃないですか」
「お前、いつもいつも主語がねぇんだょ、分かりやすく言わねぇと頭をかち割るぞ」
「新井はデカだから必要最低限でいいんですよ」
マジで言ってんのかこの野郎、新井がデカ?デカが新井。まさか汚職デカか。。。
ちょっとまってストップストップ、整理整頓だ。
デカとこの咲がつるむのは可能性がだいぶ、だいぶ低くなった。
てことは、咲を救わなければならないが、武田と咲がどれくらいの仲かわからねぇ。
「あっ!いいこと思いついた、なんでこの考えがでてこなかった、今更になって出てきやがった。」
もうすぐシゲに電話が来るはず。
「プルプルプルプル」
シゲの携帯がなる。
「兄貴、ちわっすっ、ちょうど武田さんと一緒にいます。わかりました、伝えておきます。」
おぃどうした加藤電話かけろよ
「武田さん、物は予定通り、今夜港にくるそうです。」
「そうか」
「プルプルプルプル」
シゲの携帯がなる。
「おい加藤、14時すぎてんぞ、咲がどうなってもいいのか?」シゲ
「えっ⁈テメェふざけんじゃねぇ~ぞ、カオリに何かあったらただじゃすまねーからな」シゲ
なんとか予定通りいってる。
「武田さん、すみません、俺が油断したせいでカオリが加藤に捕まっちまいました。」
「シゲ、ビクビクしてんじゃねえ、状況が有利なのはこっちだ。」
「えっ」
「お前は一人で加藤のところにいけ、咲は俺がここで見張る、おめぇに何かあったら咲の命はないとでもいってこい。」
「ありがとうござます、武田さんには何から何までいつも感謝してます。」
シゲはホテルに向かっていった。マヌケな野郎だぜ。
「咲、今助け出してやる。ほどいてやるから騒ぐな。」
「武田さん、ありがとう」咲は泣きながら、僕に抱きついてきた。
僕は咲と共に、加藤との合流地点へ向かう。
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