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街を歩いていると、あの時の面影を残す場所もあれば、すっかり変わってしまった景色もあった。昔、よく通った道、あの小さなカフェも今はすっかり閉店していて、代わりに新しい店が建っていた。

俺はその店の前で足を止め、しばらくぼんやりと立ち尽くしていた。もう、何もかもが変わってしまった。そして、自分もその変化の中に溶け込んでいるということを、徐々に感じ始めていた。

「ここから何をすればいいんだろう?」

その問いが心の中で何度も繰り返された。出所してから、結局何もする気になれなかった。働こうとしても、社会は俺を受け入れないだろうし、過去の自分を切り離すことなんてできない。

出所して数週間後、俺の携帯に一通のメッセージが届いた。差出人は「ファンボック!」。驚きながらも、俺はそのメッセージを開いた。

「再び、皇様に関する件についての調査を行います。あなたが知っていることを全てお話しいただきたい。」

内容は、ただ一つ。

「皇様に関する件。」

どうして、10年も経ってから? それに、俺がまた呼び出される理由がわからなかった。思い返せば、あの事件がきっかけで俺は一度社会から追放されたようなものだ。それでもなお、ファンボック!から連絡が来るということは、何かしらの目的があるのだろう。

その日の夕方、ふと街の公園に足を運んだ。公園のベンチに座り、周囲の子供たちが遊ぶのを眺めながら、俺は何も考えずにただ時間が過ぎるのを待っていた。

10年前、俺が何もかも壊してしまった瞬間のことを思い出す。皇様を殺したこと、それがどうして起こったのか。最初はただの衝動だった。だが、今振り返ると、すべてが不確かな理由で動き出したことを理解していた。だが、もうそんなことを考えても仕方がない。

結局、何も変わらず、時は進み、世間は忘れていった。

「俺、もう一度やり直すなんてできない。」

そう思いながら、再び足を動かし、街の中を歩き始めた。

「これからどうする?」

10年ぶりに出所しても、俺にはただその問いだけが残った。

街の音、人々の生活。すべてが俺には無関係だった。

ただ、ひたすらに一人で歩き続けるしかない。

なんでお前が推しなんだよ

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