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2月4日火曜日 昼休み
プリントを提出した後一人で廊下を歩いていたら、何故か図書室が目についた。まあ、何故かも何も「バレンタインの悲劇」という見出しの校内新聞が図書室の前に貼ってあったからだけど。バレンタインデー前で浮き足立っている社会の中でも、こういう少なくともポジティブな内容でない事を考える人がいるのか、と立ち止まった。
廊下は人通りが多いから少し迷って、図書委員の人を含め3、4人しか人がいない図書室へ入った。どの人も読書や勉強が好きなようで、人気の本や漫画があるわけでもないのに小説を探す人や、テスト前でもないのに参考書を見ているばかりだった。
誰もいない室内の端で椅子を見つけて座り、スマホに撮ったさっきの校内新聞を読む。
『ーーーーーバレンタインデーは2020年まではチョコレート以外を渡し合っていた。過去のバレンタインデーについては次の通りである。
2020年以前でのバレンタインデーでは女性から男性へチョコレートを渡すのが基本とされていた。そして、本命チョコ(恋愛対象の男性にあげる)や義理チョコ(恋愛対象ではない男性にあげる)、友チョコ(女友達にあげる)など様々な種類のチョコレートが存在した。また、バレンタインデーは恋愛のイベントというイメージがあり、告白の機会とされることも多くあったーーーーー。』
その過去は、今では考えられない事実だった。私が6歳の時まではこんな風だったなんて、覚えてすらいない。それは多くの人がそうなのだろう。
今ではバレンタインデーは女性同士でチョコレートを交換するのが主流だ。それ以外はご法度だからだ。そして、チョコレートが関係なかったとしても、告白やプロポーズなど恋愛沙汰も禁止とされている。
『それが当たり前の常識で他は全て非常識。』
これが今の日本のバレンタインデーの方程式だ。
過去のことを思い出せずに、もう一度新聞を読んでいると、2020年以前のバレンタインデーの事実についての引用先が記載されていた。一部抜粋と書かれていたから引用先の資料を図書室で探すことにした。