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赤い霧が晴れ、ようやく平和な日常が戻ってきた博麗神社。 俺は、新しく直した縁側で、霊夢と二人で月見を楽しもうと準備をしていた。
「見てくれよ霊夢。里で手に入れた最高の豆腐だ。これを白だしで湯豆腐にして、月を見ながら一杯……。これこそが日本人の、いや、幻想郷の粋ってやつだろ?」
「はいはい、分かったから。……でも、おかしいわね」
霊夢が空を見上げて、怪訝そうに目を細めた。 そこにあるのは、いつまでも沈まない、煌々と輝く満月。だが、その光はどこか冷たく、不自然なほどに「静止」していた。
「……もう何時間も経ってるはずなのに、月が動いてない。それに、あの月の模様……何かが違うわ」
「え? 模様って、ウサギが餅ついてるアレだろ?」 俺も目を凝らす。だが、そこに浮かんでいたのは、歪で、どこか機械的な「偽物」の月だった。
「……異変ね。誰かが、本物の月を隠して偽物にすり替えたんだわ」
霊夢が立ち上がり、御札を握りしめた。 同時に、神社の気温が急激に下がり始める。夜が終わらないということは、太陽が昇らないということだ。
「太陽が出なきゃ、野菜も育たないし、洗濯物も乾かない。何より……冷え込みすぎて、湯豆腐の出汁がすぐに冷めちまうじゃないか!!」
「……アンタの悩みは相変わらずね」
そこへ、暗闇を切り裂いて魔理沙が飛び込んできた。彼女の表情も、いつになく険しい。
「霊夢、大変だぜ! 森の連中が騒ぎ出してる。このままじゃ朝が来ない……永遠に夜が続くぞ!」
「行くわよ、魔理沙。……アンタも来なさい! 今回の異変は、一晩中動けるスタミナが必要なの。現場で温かいメシを作ってくれないと、こっちが凍えちゃうわ」
「えっ、また俺も行くのか!? 今度は『夜』が相手だなんて、肺が腐るより怖そうだぞ!」
俺は泣き言を言いながらも、リュックに「究極の白だし」と、体を温めるための「大量の生姜」を詰め込んだ。
偽りの月が照らす、終わらない夜。 俺たちは、狂った月の正体を暴くため、竹林の奥深くへと足を踏み入れた。