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#夢主
そら
255
みゅう

68
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半年が過ぎた。
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別れてからの〇〇は、驚くほど変わらなかった。
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相変わらずよく笑う。
相変わらず誰とでも話す。
相変わらず訓練熱心。
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告白は何度も受けた。
けれど誰とも付き合わなかった。
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「今はいいかな」
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そう言って笑う。
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その笑顔を見るたび。
リヴァイは少し安心していた。
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少なくとも。
誰かの隣にいる彼女を見る苦しさはなかったから。
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それでも。
告白はできなかった。
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もし断られたら。
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もし今の関係すら失ったら。
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そう考えると足が止まる。
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臆病だった。
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地下街を生き抜いてきた男とは思えないほど。
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恋だけはどうにもできなかった。
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そして。
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その壁外調査の日が来る。
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空は曇っていた。
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嫌な天気だった。
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調査兵団は壁外へ出る。
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いつも通りの任務。
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いつも通りの危険。
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誰もがそう思っていた。
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異変が起きたのは帰還途中だった。
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右翼側から奇行種と巨人の群れが現れた。
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陣形が乱れる。
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叫び声。
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馬の悲鳴。
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混乱。
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「班長!」
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〇〇が叫ぶ。
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視線の先。
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班長の立体機動装置が故障していた。
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逃げられない。
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目の前には巨人。
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誰も間に合わない。
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その瞬間。
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〇〇が飛び出した。
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迷いなく。
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ためらいなく。
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巨人の進路へ。
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「おい!!」
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誰かが叫ぶ。
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だが遅い。
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巨人の腕が振り下ろされる。
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かなり無理な態勢で飛び込みうなじを切るも、振り下ろされた腕を避けられない。
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吹き飛ばされた。
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木に激突する。
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嫌な音が響く。
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動かない。
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地面に落ちる。
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血。
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血。
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血。
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近くの班から応援に来たリヴァイ。血まみれでぐったりと倒れる〇〇を見て視界が真っ白になった。
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その後の記憶は曖昧だった。
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気付けば〇〇を抱えていた。
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気付けば馬を走らせていた。
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ただ一つ。
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彼女の体温がどんどん冷たくなっていくことだけは覚えている。
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やめろ。
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頼む。
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死ぬな。
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死ぬな。
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死ぬな。
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その言葉だけが頭の中で繰り返されていた。
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医務室。
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〇〇は運び込まれた。
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重傷。
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肋骨を複数骨折。
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内出血。
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頭部損傷。
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生きているのが奇跡。
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医師の言葉だった。
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三日。
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〇〇は目を覚まさなかった。
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リヴァイは仕事以外、ほとんど医務室から離れなかった。
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食事もろくに取らない。
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睡眠もほとんど取らない。
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ただ椅子に座り。
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ベッドの傍にいる。
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手を握っている。
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何時間も。
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何十時間も。
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四日目の朝。
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窓から光が差し込む。
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いつもと同じ。
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静かな朝。
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リヴァイは〇〇の手を握ったまま俯いていた。
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その時。
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指先が動いた。
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一瞬。
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気のせいかと思った。
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だが違う。
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また動く。
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「……〇〇?」
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声が震える。
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瞼がゆっくり開く。
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焦点の合わない瞳。
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そして。
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「……リヴァイ?」
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その瞬間。
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張り詰めていたものが切れた。
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リヴァイは立ち上がる。
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ベッドへ身を乗り出す。
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そして。
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泣きそうな顔で頬に触れた。
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驚いた。
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リヴァイが。
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あのリヴァイが。
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こんな風に感情を見せるなんて。
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「リヴァイ……?」
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手が震えている。
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初めてだった。
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泣いているわけではない。
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だが分かる。
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怖かったのだ。
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「……馬鹿野郎」
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掠れた声。
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「なんで無理な態勢から突っ込んだ」
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「班長が……」
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「お前が死んだら意味ねぇだろうが」
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声が震える。
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怒りじゃない。
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恐怖だった。
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失う恐怖。
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〇〇は何も言えなかった。
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そして。
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リヴァイは顔を上げる。
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真っ直ぐ見つめる。
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逃げ場をなくすように。
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何年も飲み込んできた想いを。
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ついに口にした。
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「……俺は」
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喉が詰まる。
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だが止まらない。
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「ずっとお前が好きだった」
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〇〇の目が見開かれる。
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「十五の頃から」
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「ずっとだ」
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「お前が誰かと付き合っても」
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「諦めようとしても」
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「無理だった」
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息が苦しい。
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だが今なら分かる。
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言わずに失う方が。
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何倍も苦しい。
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「今回、お前が死ぬかもしれないと思った」
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拳が震える。
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「耐えられなかった」
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「二度と会えなくなるのが」
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「怖かった」
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そして。
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最後に。
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何年も胸に抱え続けた言葉を告げた。
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「愛してる」
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医務室が静まり返る。
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風の音だけが聞こえる。
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〇〇は何も言えなかった。
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ただ。
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自分を見つめるリヴァイの瞳が。
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今まで見たどんな瞳よりも真剣で。
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切実で。
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苦しいほど優しくて。
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胸の奥が大きく揺れる。
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それが何を意味するのか。
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まだ彼女自身、はっきりとは分からない。
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けれど一つだけ。
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確かなことがあった。
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目を覚まして最初に見た顔が。
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リヴァイでよかった。
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心からそう思ったのだった。