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「私は、君に見合うイメージで、先に着替えて待っているから」
「はい」とは返事をしてみたけれど、蓮水さんの方が断然格好いいんだもの、私の方こそ彼に見合うような着こなしをしなきゃと心の中で誓った。
彼がメンズコーナーの方へ行ってしまい、さてどんなのを選んだらいいんだろう?と思い悩んでいると、「お手伝いを致しましょうか?」と、スタッフさんに声をかけられた。
「はい、お願いします。どれを着たらいいのかが全くわからなくて、困っていたんです」
「では、アシストをさせていただきますね。ところでお客様は、蓮水CEOのフィアンセの方なのでしょうか?」
「フィ、フィアンセだなんて!」そんな大層なものなんかじゃなくてと、恐縮しきりで声を上げる。
「そうでしたか、ぶしつけなことをお聞きして申し訳ありません。とても仲が良さそうにお見受けしたものですから」
「いえ、申し訳ないだなんてことは……。その、蓮水さんとは、親しくさせていただいているという感じで……」
彼とはお付き合いを始めたものの、それをはっきりと告げるのは無性に気恥ずかしくて、私はとっさにそう取り繕った。
「あの……ですが、こちらのお店でも、蓮水さんはよく知られている方なんでしょうか?」
「ええ」と、女性スタッフさんが頷く。
「このセレクトショップでも、HASUMIブランドのスーツは扱わせていただいていますので。蓮水CEOはいつもお素敵なコーデで、スタッフ内でも有名な方ですから」
ふふっと笑って喋るスタッフさんに、どこでも注目の的になっている彼のことが、ちょっぴり誇らしくも感じられるようだった。