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第6話 疑心暗鬼
「えっ……? い、今……消えましたよ!? ほら、持ってたのに……!!」
「そ、そうですよね……?や、やっぱり消え……」
「…あっ」
思い出したかのように閃いた声で相手は「あっ」と声が漏れ、急に我に帰ったように聞いてきた。
「名前って……?君の、名前は?」
と、少し距離を感じるような喋り方で私に名前を聞いた。
「……あ、私『ミナ』って言います。」
確かに名前を言っていなかったと思い出し早口になってしまった。
そして私も思い出したように、
「あ、あなたの名前は?」と不安げな声色で言った。
「──僕の名前は、『ウフツ』です。」
その声は、芯があり力強く、『ウフツ』と言う言葉が気に入っているような、それよりも上の気持ちを持っているのではないのだろうか。と感じ取れる声色だった。
それを感じ取った私はその訳を知りたく、それとなく聞いてみることにした。
「『ウフツ』って名前。気に入っているんですか?」
その言葉を聞いたウフツさんは、口をぐっと閉じ、目が泳いでいた。
次の言葉を言うのを躊躇っているように見える。しかし、渋々ウフツさんは口を開いた。
「──はい。『ウフツ』……僕が付けた名前です。とても気に入っていますよ。」
自分が付けた名前……それなりの理由、由来があるのだろうか。
「由来とかはあるんですか?」
やはり目が泳いでいて、由来を言うのを躊躇っている。そしてウフツは口を開く
「…………す、す、すみません。ゆ、由来というのは無い……です。」
……言葉に詰まっている。まるで頭の中から最適な言葉を探しているみたいに。それは明らかに嘘だと分かる動揺の仕方だ。言いたくないことなのだろうか?──