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「二人とも、何してるの?」
私がレイの足裏をマッサージしていると、ひょっこりとリカードが顔を出す。
「なっ! バカ! ノックくらいしなよ!」
恥ずかしいところを見られたと思ったのか、レイは顔を真っ赤にしてサンダルを履いて部屋を飛び出してしまった。うーん、レイの足裏の触り心地、良かったんだけどなー。
「出て行っちゃった。おいら、悪いことしちゃった?」
「うーん。まあ、ノックはしたほうが良いかもね」
「ごめ〜ん」
謝りながらもリカードは抱きついてくる。どうやら本気で反省してるわけではないらしい。顔立ちは結構かっこいいのだが、背丈は140cmちょっとくらいで口調も幼いリカードに抱きつかれるとかわいくて思わず頭を撫でてしまう。
「気持ちいい〜。にーちゃん、優しいね〜」
私の腕の中で幸せそうにしながら胸にすりすりしてくる。レイより年上らしいけれど、完全に甘えん坊のショタである。
「ねえ、おいらの足の裏もマッサージしてくんない?」
「うん、もちろん良いよ」
上目遣いでおねだりしてくるリカードに二つ返事で答える。まさか、ショタの足裏を続けて触ることができる日が来るとは。思わず異世界に転移したことに感謝してしまう。
リカードはサンダルではなく靴を履いていたため、ベッドに座るときに靴を脱ぐ。当然、サンダルよりも靴のほうが蒸れるのでリカードの足裏は濡れており、少しぬるっとした感触が手のひらに伝わる。実は足の裏に油が出る線はないらしいので、純粋に汗をかく量が多いということなのだろう。
「気持ちいい〜。にーちゃん、最高だよ〜」
「そう? それは何よりだよ」
水分がちょうどマッサージオイルのような効果を果たし、すべらせるように足裏全体をしっかりと揉みほぐしていると、リカードが幸せそうな顔をしながら、甘えるような声を出す。むしろこちらが幸せの絶頂という感じだが、努めて冷静に反応を返す。
「でも、おいらの足、汚くない〜?」
「そんなことないよ。健康的で良い足だと思うよ?」
実際、裸足にブーツならかなり雑菌が繁殖して臭くなると思うのだが、汗をたっぷりとかいている割には臭いということもなかった。二次元の世界なんだろうし、そういう臭い的なものはないのかもしれない。この辺り、人によっては臭いがキツイほうが好きという人もいると思うので良し悪しかもしれないが。
ふと気になって、意識してリカードの足の臭いを感じてみる。すると、少し酸っぱい匂いがした。なるほど、自分の意識次第でその辺りはコントロールできるらしい。いわゆるチートスキルは持っていないものの、この世界の感じ方をある程度はコントロールできてしまうようだ。
「ねえ、にーちゃん。おいら達と一緒に冒険しない?」
「え?」
「にーちゃんはアコライトなんでしょ? おいら、にーちゃんのこと気に入ったから一緒に冒険したいよ〜」
そう言いながら腰をギュッと抱きしめてくる。なんだこの甘え上手は。とはいえ、日本人である私に冒険者なんてアウトローなことができるとは思えず。かと言って、行くアテもなければフランツに対しても「私は見捨てない」なんて言ったしなー。
「私のいた世界は戦いを行うことなんてなかったから、きっとリカード達の足手まといになっちゃうと思うよ?」
「え〜? そんなことないよ〜」
「そうですよ、僕のことをしっかり守ってくれたじゃないですか」
「あんたがやられないように、俺達がちゃんと敵は倒してあげるよ」
私の弱気な返答に、リカードだけでなく、いつの間に帰ってきたのかフランツとレイもやんわりと否定してくる。みんな、私のことを必要としてくれているのだろうか。
「どこまで力になれるかわからないけれど、私で良ければよろしくお願いします」
私はまだ残る一抹の不安を少年達に必要とされた嬉しさでかき消し、三人に頭を下げる。こうして、ショタコンとショタ三人(フランツは成人しているらしいけど)のアンバランスなパーティーが誕生したのであった。