テラーノベル
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ルービックキューブから零れ落ちた紙片には、見覚えのない都市の住所と、『雨宮 零(あまみや れい)』という男の名前が記されていた。
僕は夜の街を走り、その住所が指し示す古びた一軒家へと向かった。
引き戸を開けると、微かに線香の香りが漂っている。
奥の和室には、白髪の穏やかな老人が一人、座卓に向かって静かに筆を走らせていた。
彼が雨宮だろう。
その佇まいはどこか世俗を離れており、すべてを悟ったような深い慈愛に満ちていた。
「……おや、夜分に珍しいお客さんだね」
雨宮はペンを置き、眼鏡の奥の目を細めて僕を優しく迎え入れた。僕の手にあるマスターキーとルービックキューブに視線を留めると、悲しげに、しかし全てを理解したように微笑んだ。
「あの人が……尊(みこと)くんが、ついに旅立ったのだね」
雨宮は静かにお茶を淹れ、僕の前に差し出してくれた。
その温かさに、張り詰めていた僕の心が少しだけ解けるのを感じた。
「君は、彼が何者だったか知っているかい?」
「世界の歪みを直す、あちら側の存在だと、、、そう推理しています」
僕の答えに、雨宮は穏やかに首を振った。
「いや、違うよ。彼は世界の弦を締め直すような、そんな大層な存在じゃない。、、、彼はね、歪んでしまった人間の記憶や未練を切り貼りし、正しい形へと綴じ直す、世界の『編集者』だったんだ」
『編集者』
その言葉が、僕の頭の中で黄泉國さんのこれまでの奇妙な行動と一気に結びついていく。
「人間の強い罪悪感や悲しみは、時に過去の記憶を都合よく書き換えてしまう。それが積もり積もると、世界という一つの物語に致命的な矛盾が生じる。彼はそれを『校正』しに来ていたのさ。……そしてね、そんな役割を担う『編集者』は、この世に黄泉國さんを含めて12人しかいない」
雨宮の言葉に、僕は息を呑んだ。12人。黄泉國さんと同じような存在が、他にも世界に散らばっているということだろうか。
「私もかつて、自分の過ちから大切な人間を失った。だが、その現実を受け入れられず、自分の記憶を都合よく書き換えてしまったんだ。世界の辻褄が合わなくなり、怪異が生まれかけたその時……彼が現れた」
雨宮は遠い目をしながら、慈しむように座卓の上の古いノートを撫でた。
「彼は私の歪んだ記憶を編集し、悲しみを受け入れる強さをくれた。すべてを悟った今だから分かるが……彼らの仕事は過酷だ。代償として、他人の重い未練やドロドロした記憶を、その身にすべて吸い上げなければならない。君がいつも見ていた彼の『ボケ』はね、そうして脳内に溜まった他人のノイズを外へ逃がすための、必死の防衛策だったんだよ」
喉の奥が熱くなった。
あの掴みどころのない、呆れるようなボケの数々。
あれは僕を困らせるためではなく、彼が彼自身の心を保ち、この世界に踏みとどまるための、唯一の呼吸穴だったのだ。
「彼は自分の形を保てなくなるほど、多くの記憶を編集しすぎた。、、、そして、最後に残ったのが、彼自身の『初稿』だ」
雨宮は、一枚の古ぼけた原稿用紙を愛おしそうに僕に差し出した。そこには、大正時代の年号と共に、黄泉國さんによく似た男の姿が描かれた挿絵が載っている。
「彼は一体、誰の願いから生まれた存在なのか。それを突き止め、彼の物語を本当の意味で『完結』させない限り、彼は二度と戻らない。……残された11人の『編集者』たちの行方を追うことが、その手がかりになるかもしれないね」
手の中のルービックキューブが、再びカチリと音を立てた。
色が揃い始める。
それはまるで、僕がこれから紡ぐべき、彼の謎を解き明かすためのプロットが定まったかのようだった。
「……分かりました」
僕は雨宮のノートを閉じ、しっかりと前を見据えた。
あの人が遺していった未完の原稿を、今度は僕が受け取る番だ。
彼が世界の編集者だったのなら僕は彼の意思を書き残す『執筆者』になろう。
「僕が、彼の物語の続きを紡ぎます」
雨宮の優しい微笑みに背中を押されながら、僕はマスターキーを強く握りしめた。
黄泉國尊という男の本当の正体、そして世界に散らばる11人の編集者を巡る、新しい頁が今、開かれた。
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途中からなに書いてんだって思ってたけどいい感じにまとまってよかった
雨宮はちょっとAIに思い付かせたから文句は言うなよ
言ったら言ったでバレるよ
ニコニコ
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ほー