テラーノベル
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第61話
その日の夜。
「夜分遅くに失礼します。ロルフ殿。お時間よろしいでしょうか?」
そう言って、第一王子の声とノックが聞こえた。
僕はアニカを一人にさせないように、皆をここにいさせてから扉を開けた。
「ロルフ殿。こちらに」
そう言って、近くの客室に案内された。
「昨晩は失礼しました」
「いえいえ。僕こそ、お見苦しい姿をすみませっ……」
うぅっ……もう、気持ち悪い……吐き気が止まらない。
「顔色が優れないようですが大丈夫ですか? やはり、お休みになられないと……」
第一王子は僕の背中を揺すってくれた。実際は歳が殆ど変わらないのに。
「いえ……うっ……少し、気を張りすぎていただけです……恥ずかしながら、国境越えは初めてなので……」と僕は口を抑えながら言った。
「当然ですよ。とりあえずですが……」
そう言って僕に魔法をかけた。すると、楽になってきた。
「……お気遣いありがとうございます。気分も良くなりました」
「それは、良かった。本題に入りますが、大災厄は、もう復活する恐れは無いと言い切ってもいいのでしょうか?」
「いえ。言い切るのには、この世から、全ての大災厄の元凶となった物を消さないといけません」
「そうですか……ありがとうございます。もう、今日はお休みになられてください。ロルフ殿もまだまだ、成長期。今、無理をするのは、お体によくありません」
「お気遣いありがとうございます」
「今晩はありがとうございました」
「こちらそこ、ありがとうございました」
そう言って、僕は退室した。
……成長期って寝ちゃってたからな。うん。成長期とは言い難い。
次の日の夕暮れ時。
これから第三王子との散歩を終えたら城へ戻る予定だ。
もう、日は暮れている。二人とも、夜の散歩だ。
僕は二人だけの空間にするために、ロザンナだけを見張りにした。
「ロルフ殿。こんな所に」
そういったのは、第一王子だった。
「二人だけにしないといけないかと思いまして」
「あぁ……デニスか……」
デニスさんって言うんだ……
「すみません。第三王子とは昔からあまりいい関係に無くて……」
第一王子は少しため息交じりで言った。
王族なんだから、大変だろうな……
「そんな事もありますよ」
「そう言ってくれるとありがたい」
ふと、空を見上げると妖精が『何か武器を持った人たちがこっちに走って向かってる。ナッサウの武装じゃない』と焦って言っている。
……兵が攻めてくるって、本当か……早く出ないといけないけど、恩を売っといて……いや、どうやって情報を手に入れたのか、問い詰められるだけか。
ナッサウの隣国が攻めてきているという情報を手に入れたけど、どう……言った方がいい。ナッサウとは友好関係にあるんだし。
「……僕の仲間があっちの方に変な魔力反応があるとの報告が来ました。それについて、何か知っていますか?」
「変な魔力反応……兵は出していないはずだ。それは本当なのか?」
「はい。いつも、あの人は確実ですから……」
自分で言うのもあれだけど、あの人って誰?
……まぁ、後で……いや、情報を漏らさない方が確実か。
「だとすると、コルサーノの可能性か……」
『龍! 龍が兵がくるのと反対側から来てる! 急いで!』
は? ドラゴン……
確かに、黒いモヤはあるけど……
ん? ちょっと待て。黒いモヤって……
「どうかされましたか?」
「龍がいるような気がして……」
そこまで言うと第一王子は辺りを見渡して苦虫を噛んだような顔をした。
「僕は、様子をみてきます。王子は避難を」
「大丈夫なのですか? 体調も優れないご様子でしたが……」
「少し、様子を見に行くだけですので、大丈夫です」
……バレてないかな……これで、嘘吐いてた事バレたらナッサウに出禁だよ……
「気を付けて下さい。兵の方も調べて来ます」
王子が駆け出したので、僕も走り出した。
『姫様も避難させる?』と妖精が走ってる僕に話しかけたので頷いた。
龍の姿が見えると、僕は息を飲んだ。
まず、あの大災厄より一回りだけ小さいドラゴンだ。大災厄はこの世の生き物とは思えない程の大きさだったけど、こっちも、かなりの大きさだ。
装備はしっかりしてるから多分、勝てると思う。
龍は何の拍子もなく大きな爪を振り降ろした。
また、あの黒いモヤに拘束された。今度は強い。
僕は剣では無く、光の力を発動させた。
あ、バレ……いや、誰も見てないから嘘つけ……うん。まずい。
でも、僕の力は弱いから大丈夫だと信じよう。
モヤは消えていったし、体も軽くなった。
よし、これで。
僕は龍に向かって軽快に駆け出した。
✡
「もうちょっと、早く歩けないんですか?」
速いの自覚して! この人苦手……
『姫様に伝言。あっちから龍、そっちからは、コルサーノだと思われる兵がいるから避難を。ロルフは龍の方に向かってる』
それを見て、第三王子――デニスさんが唖然としている。
「分かった。王子。とりあえず、避難しましょう。この黒いのはっ!」
私は龍のいる方にある黒いモヤを見つけた。
「何だ? この黒い霧は?」
「私は、龍の元へ向かいます。王子は避難を」
私は、そう言って急いで駆け出した。
コメント
1件
「うわぁ〜ロルフくん魔法使っちゃったやつ!?バレるのこれ…!?」ってそこが一番ドキドキしたよ😭💕 妖精さんの情報網頼りになるし、龍と兵の両方から迫る緊張感がすごかった…! 王子たちの関係性も気になるし、次どうなるか早く読みたいよ〜✨ こはるさん毎話お疲れさまです🌸
#探偵
橘靖竜
6,116
#聖女
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7,332
こはる
1,437
上野文
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