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その日、メイたちは武蔵帝都にある本部で警備の任に就いていた。
空は鈍い灰色に覆われ、重苦しい雰囲気が漂っていた。本部の広間では、
各地方から召集された司令官たちが一堂に会し、
今後の魔獣対策について真剣な議論を繰り広げていた。
武蔵帝都は現世でいう東京のような巨大な都であり、
国の中心として君臨していた。総帥の統率のもと、各地方は連携を取りながら
魔獣退治に取り組んでいた。しかし、
その一方で帝都の力を快く思わない者たちも存在している。
彼らは密かに自らの地を新たな都にしようと画策していたが、
その野望を阻む存在があった。圧倒的な強さを誇る國光の部隊である
メイは本部の外で警備を行っていた。周囲には地方から来た部隊の隊員もおり、
彼女を見てはこそこそ話す声が耳に届いた。その囁き声に背筋がゾッとし、
現世でいじめられた記憶が鮮明に蘇る。
「メイ、どうした?」翔太が心配そうに声をかける。
「大丈夫、ちょっと水飲んでくるね」とメイは持ち場を離れた。
水を飲みながら、「大丈夫」と自分に言い聞かせ、再び立ち上がろうとした
その瞬間、
突然口をふさがれ後ろから羽交い締めにさた、「!!」
足を持たれ、二人組の隊員によって人気のない木が生い茂る場所へと引きずられていく
「いやぁ!!」メイが叫ぶも、声はかき消される。
男たちは冷酷な笑みを浮かべつつ、メイに拳を振り下ろし始めた。「ゴンッ!!」
「おいおい、これが武蔵帝都の実力ってか?」一人が嘲笑しながらメイの腹に強烈な一撃を放つ。「ドスッ!!」
メイは一瞬息が詰まり、苦痛に顔を歪める。「うっ...!」力が抜けたようにその場に崩れ落ちた。
「強いやつは上にいるだけで、こんな奴ら大したことねえな」と、
もう一人の男が鼻で笑い、メイの胸ぐらを掴んで言い放つ。「調子に乗るなよ!!」
男たちは休むことなくメイを蹴り続けた。「ドスっ!!、バキっ!!」
「ガンッ!!」もう一撃がメイの腹部にめり込み、その痛みが身体中に広がる。
「はは、なに泣てんだ、もう戦えねえのか?」笑い声が響く中、
男たちはさらに激しさを増し、メイを執拗に責め立てた。
メイは絶望と苦痛でもはや立つこともできず、ただ耐えるしかなかった。「ぐ…、助けて…」
「うっ、うう…」拳と蹴りの嵐が彼女の身体を次々と襲う。
「おい、こいつよく見るとかわいい顔してるな」と男の一人が言う。
「ほぉ~、本当だ。やっぱり都の男は顔も違うんだねぇ」と言いながら、
もう一人が顔を殴打する ゴッ!ゴッ!
「へへ」と笑いながら上着を脱ぎ始める男、
もう一人が戸惑いの声を上げた。「おい、お前まさか……」
「そのまさかだよ。いいから抑えつけとけ」と言い、男はメイを押し倒した。
彼の目は、悪戯を企むかのようにギラついていた。
メイの口にタオルを無理やり詰め込み、
暴れる彼女を力で押さえつける。馬乗りになった男は
冷たい笑みを浮かべながらメイの軍服を乱暴に引き裂き始めた。
男は自分のベルトを外し、下半身を露わにすると、メイの目に絶望と恐怖が広がった。
「んー!!んー!!」叫び続けながら必死に抵抗するが、男たちは彼女の力を完全に封じ込めていた。
男は冷たく笑いながらメイのベルトを外す、その瞬間、メイの心に暗い影が差し込んだ。
メイの視界は涙でぼやけ、時間が止まったかのように感じる中、
彼女の心は絶望的な恐怖で満たされ続けた。
「おい、早くしろよ!」メイの手を抑えてる男が言う
「ああ、わかってるよ、暴れるなくそっ!!」
「今、気持ちよくしてやるからな...」
そう言うと男は興奮したように笑みを浮かべ自分の下半身をメイに押し当てた
「んー!!んー!!」(助けて!誰か!!)メイの声はタオルに遮られ、外には届かない。
その瞬間、突然男の動きが止まった。辺りは緊迫した沈黙が漂い、
空気が一瞬にして凍りついたように感じられた。
メイが目を開けると顔にボタボタと生暖かい血が滴り落ちてくる。。
目の前の男が、上半身が二つに裂けながら、内臓や骨が露わになったまま地面に崩れ落ちた。
凄惨な光景にメイの瞳は恐怖に見開かれ、声すらも出せない。
その後ろには魔獣が不気味な唸り声を上げ立っていた
男の仲間も恐怖に叫び声を上げた。「うぁああ!魔獣だぁああ!」
その瞬間、メイを探しに来た翔太が駆けつけ、「メイ!!」
目の前には、暴行されたメイの姿と男の死体、そしてもう一人の男の前に立つ魔獣。
翔太は即座に銃を構えたが、魔獣は一瞬のうちに逃げ去っていった。
場にはただ、冷たい風と、惨劇の跡が残されていた。
メイはその場で気を失ってしまった。
メイは深い闇の中でゆっくりと目を開けた。彼女を包み込むのは、現世でのいじめの記憶と、
この異世界での恐怖が渦を巻く夢だった。廊下での冷たい嘲笑、教室での孤独、
そして新たな世界での絶望。それらが彼女の心を苛み続けていた。
「もういや!なんで私がこんな目に合わなきゃいけないの!」メイは涙が枯れ果てるまで叫び続けた。
心の底から湧き上がる怒りと悲しみが、彼女を壊れかけた人形のように揺るがせた。
「私は死にたかった!だから飛び降りたのに!どうして…どうして…!」その叫びは虚空に消え、
彼女をますます絶望の淵へと追いやっていた。
その時、不意に眩しい光が彼女を包み込んだ。
混沌とした記憶と恐怖が一瞬にして退けられ、光に包まれた中で、
メイは力強くも神秘的な声を聞いた。
「私がお前を連れてきた。この世界の運命を変える者として。」
その声は、メイがこの異世界で最初に出会った霊獣、魔狼のものであった。
その温かさと力強さが、メイの傷ついた心に染み渡り、彼女は初めて少しの希望を感じた。
メイは魔狼の言葉に戸惑いを隠せなかった。「運命を変える者?」
「私の力は封印されている。その力を解放することができるのは、お前だけだ。」
「封印?」メイは驚いたように魔狼を見つめ
「私が…?どうして私がそんな重要な役割を?」
「現世でも、毎日毎日いじめられて、
誰も私の味方になってくれなかった。どんなに頑張っても、
恐怖に押しつぶされそうになって、結局何もできなかった…。
この世界に来ても同じ。失敗ばかりで、
力が足りなくて…運命を変えることなんてできない!」
魔狼はその言葉に込められた思いを理解し、メイの頭に優しく鼻先を当て
「お前がここにいるのは偶然ではない。お前の心の中に秘められた強さが、この世界の運命を変える鍵となる」
メイは涙をこらえながら「自分より強い人たちがたくさんいるのに、私一人が何をできるというの?
こんな私が、この世界の運命を変えられるなんて全然信じられない。
どうしたらいいの、どうすれば強くなれるの?」
「お前は一人ではない。私がいる。この世界にはお前を支える者たちがいる。
恐れずに進め、それがお前の真の強さを引き出す道だ。」
メイは深く息を吸い、魔狼の言葉を胸に刻んだ。彼女の中で、少しずつ新たな決意が芽生えていった。
「お前の勇気と決意が私たちの未来を切り開くのだ…」
そう言うと魔狼は静かにゆっくりと消えていった。
その姿を見送ると同時に、メイの胸の中には不思議な力が湧き上がってくるのを感じた。
現世では友達もなく、孤独な日々を送っていたメイ。しかし、今の自分は違う。
この世界で出会った仲間たち、そしてメイを導いてくれた魔狼
そのすべてが彼女に新たな力と希望を与えてくれる。
「私はもう一人じゃない」とメイは心の底から感じ、
過去の孤独や苦しみから解放されていることに気づいた。
今の自分は確かに強くなりたいと願っていた、一人で歩んでいた過去の自分とは違う。
守りたいものがあり、共に歩んでくれる仲間がいる。
その瞬間、メイは目を覚ました。
病院のベッドの上で、白い天井が視界に入ってきた。
周囲の静かな音が耳に届き、身体全体に感じる痛みが現実に引き戻された。
「ここは...病院」と、メイは小さな声で呟くと
枕に頭を沈めながら天井を見つめた。
心の中に新たな決意が芽生え、彼女はゆっくりと体を起こそうとした。
その時、病室のドアが開き、部隊長の蓮が入ってきた。
「隊長……」メイはかすれた声で呟いた。
「おい、まだ安静にしてろ」と蓮は厳しい口調で言いながらも、心配そうな目をしていた。
メイは蓮の目をまっすぐに見据え、決意を込めて言った。
「隊長、私もっと強くなりたいんです。過去の孤独や恐怖に負けず、この世界で自分を信じて戦いたい。」
蓮はメイの顔をじっと見つめた。彼女の顔には今回の事件で受けた殴打の跡がまだ残っていた。
彼はメイがその恐怖を乗り越え、自分からこの言葉を発することに驚き、そして感心した。
その決心した目を見て、蓮は深く頷いた。
「心配するな、俺が必ずお前を強くしてみせる」と蓮は力強く答えた。
「はい」とメイは力強く返事をしたが、目からは止めどなく涙が溢れていた。
自分でも抑えきれない感情が次々と込み上げてきた。
蓮はその涙に動かされ、思わずメイをそっと抱きしめた。彼の力強い腕に支えられ、
メイは今までの感情を一気に吐き出すように思いっきり泣いてしまった。
蓮は優しくメイの頭を撫でながら、「お前は本当に強いな」と静かに言った。
涙が落ち着くと、蓮はメイをベッドにそっと寝かせ
「今は自分を大事にして、ゆっくり休んでくれ」と優しい声で言い、病室を出て行った。
蓮は病室を出た後、何かわからない感情がこみあげてきた
思わず抱きしめたメイの感覚が残っている...
メイの温かさ、かすかな震え、
不安と希望が入り混じった表情――
すべてが蓮の心に深く刻まれた。
「メイ、俺はお前を信じる。共に戦おう」
「しかし…」
「なぜだ?なぜおれの股間がこんなにも熱く!!」
蓮は顔を赤らめながら何事もなかったように足早にその場を後にした