「それじゃあミツルのじいちゃん家行くのは10日で決定ね?」
胡散臭い担当こと楠木は髪の毛をいじくりながらカレンダーに予定を書き込んだ。
ちょっと前まで綺麗に染まっていた金髪は、今では立派なプリン頭になっている。楠木は一回の美容院にそこそこ金をかけるが、それを維持する気力は無いようで、染め直しに行くことはない。
俺もそこまで髪にこだわってはいないので、どっかしら安めな美容院で短髪にしてもらっては、しっかり伸ばしてしまってから1000円カットに行くことが多い。
一度綺麗にしてもらったら気分も上がって、それを維持して行こうとは毎回考えるが、それを行動に移すかは別だ。面倒臭いし。
そんなことを続けてしまうから、とうとう明日から夏休みが始まるっていうのに首にかかる髪の毛は少し暑く、うざったい。
せめて帰省する前に髪を切れたら良いのだが、これで実際に髪を切りに行った試しがないのでもう諦めている。
やいのやいのと盛り上がる友人を横目に、近くの美容室を探すがどこも今日の予定に空きは無くなっていた。
そういえばシシルも髪伸びてるよな。あいつは髪切らないのかな。
じいちゃんは元々長毛種の犬を飼っていたとか、なのでカットはお手のものだとかで時々「坊主にしてやろうか」と言ってくるのだが、いっそその腕前に任せて刈ってもらおうか。
わざわざ髪を切るだけに外出るのは面倒臭い。
「ねえ美鶴〜相談なんだけど……ようやく髪切りに行くの?」
「いーや、見てるだけ。めんどいし多分行かない。」
夏休みの予定用にと誰かが持ってきたカレンダーはいつの間にか落書きだらけになっており、何が何だかわからないが多分、打ち上げ花火とかやりたいと言い出すんじゃないだろうか。
「髪型って大事だよ、清潔感での印象はダンチ。ほら、彼もこう言ってるし。」
「髪型なんてどうでもいいと思ってました……でも身だしなみの大事さを知って世界は変わって……!さあ名雪くんも!」
「で、相談って?」
「カブトムシ取れるかな?」
何が世界が変わった!だ。知ってるぞ、お前も面倒くさがって坊主にしているんだろう。
謎のショートコントで話が中断したが、相談内容はすごくしょうもないことだったのでそのまま小芝居続けさせてても良かったかもしれない。
カブトムシもクワガタもカナブンも取れると思うよ。
話し合いもそこそこに、昼も大きくまわった男子高校生は飯に飢えていた。
ということで、一学期最後の学校を後にし、コンビニにて食料の調達に出る。
よくわからない予定も書かれたカレンダーを「だって無いと困るだろ?予定表は大事だから。」と、コピーしようとする佐藤は中々悪戦苦闘しており、他の全員が会計を済ませた後でもまだコピー機と戦っている。
「佐藤くん、多分このボタンだよ。」
「え、あっホントだ!ありがとう!」
困り果てた佐藤に助け舟を出したのは、たしか楠木と同じクラスの……誰だろう。
「ううん、良かった!……それで、ちょっと見えちゃったんだけど夏休みどこか行くの?」
「そそ、そこの名雪のじいちゃん家。」
「ええ!楽しそう!結構長いお泊まりなんだね。」
やけに興味を持たれたが、正直かなり腹が減ってきているのでどうすればここから抜け出せるか真剣に考え始めた。
しかし佐藤は可愛い女子とお喋りできて楽しいのか、自分からは会話を終わらせるつもりはないようだ。
「そうだ!学校近くの広場でやるお祭りってあるじゃない?」
「あの工場跡広場?」
「そう、学校の友達と集まる予定なんだけど、良かったらみんなも来ない……?」
「ええっ!行く!めっちゃ行く!」
今にも飛び跳ねそうな佐藤は、どうだとばかりにこちらへ視線を向けてくるが、どうもこうもない。腹へった。
そのまま連絡先交換をした佐藤はルンルンで女子と別れ、途中からコンビニ前でアイスを貪っていた加賀に頭を叩かれていた。
夏祭りって何日だっけ。あのお盆周りに落書きが集中しているカレンダーを見た上で誘ってきたのだからお盆期間中ではないのだろう。
夏祭りなんて小学3年生の時が最後になるのかな、せっかくだし行きたい気もする。
コンビニチキンの包装を破いて、騒ぐ佐藤に日程を尋ねた。
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爪切りです。
ひとまず美鶴のキャラデザだけ出来たので出します。
服を描くのが面倒くさかったのですっごい雑なスウェットを着せてしまいました。
美鶴くんはこんな顔面をしています。最近はポップ死なないでといきものがかりをよく聞いてるけど多分ちゃんと歌詞聞いてない。
また、決まり文句ではありますが絵の転載や使用は禁止です。
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