「私、流れ星になりたい。」
満開の桜が舞い上がるある日、僕は明花に出会った。
「え?」
咄嗟に聞き返すが、彼女は寂しそうに微笑む。
(なんて人間は難しいのだろう。)
僕は頭の中でそう問いかける。でも、返答なんてあるはずはなく。
「は、はぁ…」
面白味のない世界に、今日も僕は瞬きをする。
「明守っ!!」
忘れもしない、僕の名前を必死に呼ぶ友人の声と全身に伝わる衝撃な痛み。理解するのには時間がかかった。
「明…守…?」
何回名前を呼ぶんだこの人は。まぁ当たり前だろう。
「明守…っ!!」
なんで泣くのかね。あぁ、僕轢かれたんだった。救急車、パトカー、色々な音が聞こえていたけど気付けば聞こえなくなっていた。涙でぐちゃぐちゃになった僕の友人、晴人の顔も見えなくなっていた。そこから30分後、僕は運ばれ、手術が開始された。
手術は成功したらしい。でも、しばらくは入院生活を送らなければならない。
(母さんと慶太に謝らないとな…)
慶太とは僕の弟だ。まだ2歳だけど。そこで思い出す。僕が運ばれる時、最後までそばに居てくれた友人を。
(晴人にも謝らなきゃ。)
ふと、空を眺める。
(桜綺麗だな…)
その時、医者が僕の名を呼んだ。”精密検査をしたい”と。僕は言われるがまま、医者について行った。
僕の足は、動かなくなってしまった。
コメント
2件
初コメ失礼します 🙏🏻💫 表現の仕方と物語の進め方に一目惚れしてしまいました 😻💗 よければ お友達になりませんか、?!