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たぶん、私、人といるの、むいてないんだろうな。
だって、いつも私、最後泣くもんね………?
わかってる、わかってるの、わかってるんだけど、、、、!
それでも、それでも、私は人といなきゃダメなんだよ……!
無価値な私は、まるでお姫様みたいな君と一緒にいなきゃ、ダメなんだ。
そうじゃなきゃ、私は輝けない……!
私は輝いている人の光を分けてもらって、やっと価値が生まれるんだ……っ!
人と一緒にいないと、私は、無価値な私になっちゃう……!
ちゃんと、しなきゃ………!
そう、私は自分自身を叱咤した時だった。
「なのは?なにしてるの、こんなとこで。」
いちかだった。
いちかが、そこに立っていた。
「い、いちか?なんでここにいるの……?」
私は声を震わせた。
「あ、私は音楽室の鍵閉め忘れたって聞いて、それで………。
なのはは?なんで泣いて………」
私は、泣く、という言葉に肩をびくっと震わせた。
その様子に気がついたんだろうか。
いちかは不安そうにこちらを見て、何かを言おうとして口を開いた。
でも、私はそんなのはどうでもよかった。
私は、
私は、
「な、泣いてない………!」
そう、悲鳴に近い声で、そう言った。
「へ……?」
いちかは拍子抜けしたようにそんな間抜けな声を出した。
でも、いちかは私の表情を見て、言葉を失っていた。
私は、怒っていた。
「泣いて、ないよ………。
だって、私は弱くないから!
そんな、あんなことがあったくらいで、泣くような子じゃ、ないんだから……!
怖く、なんて、ない………!」
その言葉は私に向けられていた。
泣いてばっかの自分に、うんざりだった。
弱くない。怖くない。
そんな自分のプライドを、私はいまだに守ろうとしていた。
別に他の人になら、そんなことはしなかったかもしれない。
でも、いちかは、いちかの前だけは、絶対に泣けないのだ。
だって、いちかは、私にとって、信じてもいいのかわからない存在なのだからーーー
私の居場所を無くした原因の人であり、作った人で。
それに、私がいちかと関わったら、いちかが困る。
今度はいちかがハブられる。嫌われる。
それは、絶対に嫌だった。
苦しむのは、もう私だけで十分だった。
嫌われた人に話しかけちゃいけない。
今度は自分がそうなる、なんてこの世界の常識だった。
だから、ずっと無視してきた。自分の心を。
迷惑かけたくない。
これ以上、嫌われたくない。
だから、いちかとはあの日から関わっていなかった。
でも、
本当は、またみんなと一緒に喋りたかった。
何もなかったことにして、全部全部忘れて。
それができたらどれだけ良かっただろう。
いちかは、いつだって笑ってて、天真爛漫。
すずは、少し厳しくて、でも本当は優しかった。
みさきは、聞き上手で、よく周りを見ていた。
彩乃は、運動神経が良くて、かっこよかった。
じゃあ、私は…………?
私には、何がある………?
「あーあ、なんで、私は、私たちはこうなっちゃったのかな……?」
つい、そう呟いてしまった。
はっと口をつぐんだけど、もう遅くって。
いちかは、私をまるで傷だらけのものに触るように、私の手に触れた。
その握られた手は、震えていて、でも暖かい。
「なのは、もしかして、後悔してる…………?」
そう、いちかは遠慮がちに聞いてきた。
「後悔………?」
何にだろう、と思って聞いたが、考えてみれば簡単だった。
私たちが仲良くなったこと、だ。
私がわかったのを察したからなのか、いちかは黙っていた。
私が答えるのを、ただただ黙って待っていた。
その瞳は、すこし涙が浮かんでいるように見えた。
私は、その瞳を見て、糸が切れた。
「だって、あの頃は疑いもしなかったんだよ……!
私たちの絆の結び目は、ほどけないものだと思ってた………っ!
こんなにもあっさり、ほどけるなんて、知らなかった…っ!!」
肩で息をする。
息が苦しい。
でも、私の口は止まらなかった。
「じゃあ、どうすればよかった……?」
やめて、止まってよ、私。
「笑ってればよかった?」
もういいよ、もういいから、
「あのまま合わせて笑ってたら、こんなことにならなかった?」
やめて、やめて、
「違うって、言うんでしょ……?」
それ以上、言わないでよ……!
「もう、なんなの!?分かんないよ!」
もう、いいってば……!
「大っ嫌い……っ!」
やめて……っ!!
もう、やめて………っ!!
もう、いいから………
そう、何かが私の中で溢れた。
息が荒くて、さっきよりもずっと苦しかった。
目頭が熱い。
私の心は、私に怒っていた。
だって、いちかはひどく傷ついた顔をしていたからーーー
私は慌てて口を閉じた。
でももう遅かった。
いちかの額からぽたぽた涙がこぼれ落ちて、床には小さな水たまりができていた。