テラーノベル
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ロシアがスープを飲み干した瞬間、顔をしかめて何かを感じている様子だった。ロシア「……なんか、体が熱いな」
ドイツ「熱でも出たか?」
ロシア「いや、そういうんじゃない。なんか…妙に安心する」
安心、か。俺の血が混ざったせいだろう。けれど口には出さない。ただ短く「そうか」とだけ答えた。視線を少し逸らしたのは、気づかれたかもしれないという焦りからだった。
──だが、次の言葉で心臓が跳ねた。
ロシア「……ドイツ」
ドイツ「なんだ」
ロシア「さっき、血の味がした」
一瞬、固まる。だが動揺を悟らせるわけにはいかない。
「気のせいだろう」と、淡々と返す。
ロシアは「気のせいならいいけど」と笑ってみせたが、その奥に揺らぎを感じた。
本当は分かっているんだろう。だが受け入れたくなくて、そう言っている。
ソファに戻り、無言の時間が流れる。互いに言葉を探しているような空気。
その沈黙を破ったのはロシアだった。
ロシア「なぁ」
ドイツ「なんだ」
ロシア「お前さ、もし俺が血を欲しがったらどうする?」
その問いに、俺の心臓が跳ねる。まるで、核心を突かれたように。
それでも答えは決まっていた。
ドイツ「……与える」
ロシア「ははっ、即答か」
ドイツ「お前が望むなら、俺は断らない」
これは俺の欲でもある。お前が欲するなら、俺もそれを望む。
ロシアは「怖い」と言った。人が人を食う行為に嫌悪を抱きながらも、俺なら少しぐらいは受け入れられると。
その言葉に、抑えてきた何かが揺さぶられる。
ロシア「……なぁ、俺は壊れてるのか?」
ドイツ「壊れてない。むしろ正常だ」
ロシア「どこがだよ」
ドイツ「本能に素直になっている。それだけだ」
そう言いながら、無意識に手を取っていた。硬く温かい手。触れただけで、互いの体温が交わっていく。
ロシア「……ドイツ、お前」
ドイツ「言うな。今はまだ、言葉にするな」
その先の言葉を聞いてしまえば、戻れなくなる気がした。
やがて夜が更けていき、寝室に案内する。広すぎるベッドを示すと、当然のようにロシアは「一緒でいい」と言った。
一瞬、息が詰まる。驚いたが拒む理由はない。むしろ、拒む気持ちが最初からなかった。
隣に横たわり、闇の中でロシアの声を聞く。
ロシア「もしまた、俺が吐いたり思い出して苦しんだらさ。……そばにいてくれるか?」
ドイツ「もちろんだ」
それは誓いでもある。俺はそばを離れない。
たとえ、もっと深い依存へと堕ちていくとしても。
──立場逆転だな。
ふへっ
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死にそう(瀕死) 死んだ(尊死)