テラーノベル
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一般人パロ🎤×🎹
元貴が初めて彼と出会ったのは小学2年生の夏。
蝉の鳴き声が響く暑い午後だった。
玄関のチャイムが鳴り、母親に促されて出て行った元貴は、姿勢よく母親の横に立っている彼と目が合った。
少したれた目にすっと通った鼻筋、口角のあがった小さな口のかわいらしい顔立ち。色素の薄い茶色の髪が日に透けて金色に輝き、元貴の目には彼が天使のように見えた。
その天使は少し恥ずかしそうな笑みを浮かべながら少し身をかがめ、元貴に向かって手を伸ばしながら言った。
「こんにちは、藤澤涼架です。よろしくね。」
少し背の高い涼架の姿に緊張しながらも手を握り返し、元貴はか細い声で「大森元貴です、よろしく…」と返事をした。
空き家だった隣の家に引っ越してきたらしく、母親たちが話す間、二人は家の庭でキャッチボールをした。
ぎこちない動きの元貴に、涼架が優しくボールの投げ方を教え、「うまいじゃん!」と笑った。
それから二人は毎日のようにお互いの家に入り浸り、元貴は3つ年上の涼架に勉強を教えてもらったり、二人でゲームをしたりした。
その頃にはお互いを「元貴」「りょうちゃん」と呼ぶようになっていた。
元貴は会ったばかりの年上の彼の呼び方に悩み、”涼兄ちゃん””涼架くん”などいろんな呼び方をしてみたけれどれもしっくりしなくて、結局引っ越す前に呼ばれていたという”りょうちゃん”に落ち着いた。
彼は一人っ子だったから、弟ができたみたいと大喜びしていつも一緒にいてくれた。
夏になると近くの海に行き、二人で遊んでいるうちに入江にいい隠れ場所を見つけ、秘密基地と呼んで天気の良い日はよくそこで他愛もない話をして楽しんだ。
彼は時々一人でずっとしゃべっていたり、人よりゆっくりしていて天然なところもあるけれど、そのどれもが元貴にとっては心地よかった。
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