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放課後。
校門のところに小さな人垣が出来ていた。なんだなんだと思って見てみると、人垣の中心からすっかり聞き慣れた声がする。
💙「深澤くん!!!」
翔太だった。
他校の制服を着た、見目麗しい美青年の一声に、女子も男子も(なぜか男子の方が圧倒的に多い)俺と翔太とを見比べている。隣りにいた照もさすがに色目は使わないにせよ、暫し見惚れているのが分かった。
💙「一緒に帰りませんか?」
💜「お、おぅ…」
💛「ふっか、誰?」
💜「翔太。俺の舎弟」
💛「舎弟ぃ?」
照の顔がにやりと笑う。こいつは昼の質問と翔太とを早速結びつけたらしい。勘のいい野郎だ。
💛「じゃ、俺、今日も塾あるから。ふっかをよろしくね」
💙「?…はい」
照は翔太の頭をぽん、と叩くと、俺に目配せをして立ち去っていく。自然と人だかりも解散となり、翔太と二人きりになった。
💙「深澤さん、今日は家に帰るの?」
💜「……んー。翔太さえよければまた泊めてほしなあ。なんつって笑」
💙「うん、おいでよ。俺も深澤くんと一緒だと楽しいし」
💜「マジ?無理してない?」
💙「してないよ笑」
二人、連れ立って、翔太の家へと向かう。途中、自分の家に寄って、翔太の勧めるままに着替えを何着かと身の回りの日用品を持って出てきた。母ちゃんも悪いわねぇとか言いながらなんだかんだで円満に追い出される。
その日から、俺たちは気の置けない男友達として急速に仲良くなっていった。
キスも手繋ぎもしない。
それでも半同居のような、半同棲のような、そんな二人暮らしが始まった。
◆◇◆◇
翔太の家に荷物を置き、空いた時間に俺はバイトに出掛ける。その中からいくらか生活費も渡した。初めは断っていた翔太も、そんなに言うならと最後には金を受け取ってくれた。
あんなに毎日女の子と遊びまわっていた俺は、翔太に出会ったことでかなり真面目になって、バイトなんかもしちゃったりして、余った時間はそれこそ珍しく勉強なんかもしちゃったりして、残りの高校生活を目まぐるしく送り始めた。あくまでも清らかに。
そんなある日のこと。
夜、家に帰ってゲームをしていると、玄関のチャイムが鳴った。 翔太かなと思い、すぐにドアを開けると、黒髪の背の高い、見たこともないようなイケメンが強引に入って来た。
🖤「あれ?ここ、翔太の家では?」
💜「あ、翔太ならまだ帰って来てないけど…」
🖤「なら、あんた誰?」
それを聞いた男からいきなり敵意を向けられて驚く。
そいつは照以上に背が高くて、整った顔立ちをしているが、俺のことをどうやら敵だと認識したようだった。綺麗な顔が歪む。
🖤「翔太を出せよ」
💜「だから家にいないって。ご覧の通り隠れるようなとこもないし」
狭い6畳間だ。男も諦めたのかそれなら待たせてもらうと言い放ち、断りもなしにどかっとベッドに座った。それからほんの5分くらいしてまたチャイムが鳴った。今度は警戒してドアをおそるおそる開けると、今、目の前にいる男よりもさらに大きな男が立っている。こっちはハーフのような顔立ちをしていた。
🤍「あれ?ここ、翔太くんの家じゃ…?」
🖤「ラウール」
顔見知りなのか、先に居座っていた男が玄関先の男を見て言った。
🤍「兄さん。どうして兄さんがここに…」
🖤「お前こそなんで」
その時、また玄関ドアが開いた。
今度は正真正銘の翔太だった。
💜🖤🤍「「「翔太!!!」」」
3人の声が同時に重なった。