コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
サイド ユズ
トキお兄ちゃんには、感謝している。
ダイキ兄たちに会わせてくれただけでなく、“普通”を用意してくれたから。
同時に、あの頃に戻りたいって思いが強くなる。ユメお姉ちゃんを、あの人たちに……ダメだ。でも……!
結局、ユズは裏切ることを選んだ。本当に、ごめんなさい。ユメお姉ちゃん。レンお兄ちゃん。トキお兄ちゃん。
「よくやったなあ」
「これで、もういいんだよね……?」
「ああ”?まだまだ全然足りないに決まってんだろ。そうだな……次はコイツだ」
目の前が真っ暗になった。なんで。どうして。どうして……!私がユメお姉ちゃんを見捨てたのは、無駄だった?まだ足りない?
「もう嫌なの……!無理、もう出来ないよぉ……!」
ッチっと舌打ちをうつ。ビクリとユズの肩が跳ね上がる。
「ならいい。お前はもう用済みだ。×××と一緒に、売っ払うか……」
「…………!」
売られる?ユズを?どうやって?どうして?何を?
怖い。分からないから怖いよ。
直ぐに逃げようとした。けれど、そんなユズの腕を素早く掴んで、鍵のかかった部屋に投げ込む。
「いっ…………!」
直ぐに鍵が閉められる音がした。目の前には、手足を縛られたユズお姉ちゃんたちがいた。
居た堪れなくて、堪らず目を逸らす。
「「ユズ……!」」
「…………ごめん、なさい」
怒られる。ごめんなさい。全部全部ユズのせいだから。分かっているから。
「無事でよかったですわ……!」
…………え?
「ユズ!怪我してねえか?大丈夫だよな?!」
「だ、大丈夫だけど……」
怒らないの?なんで?
「ならよかった!」
「全然良くないよ……!なんでユズのこと責めないの?全部ユズのせいなのに……!」
「悪いのはアイツらでしてよ!」
「ああ!それに、ユズは謝っただろ?だから許す!」
…………ユメお姉ちゃんも、レンお兄ちゃんも、優しすぎるよ。じわり、と目尻に温かいものが溜まって、ひと筋溢れ落ちた。
「……本当に、ごめんなさい……!今からでも、力になりたいよ……!」
「なら、まず俺たちのガムテープ剥がしてくれ!あ、アイツらにバレないようにこっそりな!」
「そうですわね!ユズの手が自由で本当に助かりましたわ!」
「わ、わかった……!」