TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

モンダイジ団 執着編

一覧ページ

「モンダイジ団 執着編」のメインビジュアル

モンダイジ団 執着編

8 - 第7話 サイド ユメ

♥

5

2022年08月25日

シェアするシェアする
報告する

サイド ユメ


手足が動けるようになったあたくしは大きく伸びをしました。

レンも同じように、体を動かしています。

「後はトキさんだけだな!」

「でも、まだ気絶してるよ……?」

レンの話によると、何もされていないのに倒れたって……。息はしていますけれど、心配ですわ。

「起こした方がいいのか?」

「分かりませんけれど……このままにしておくわけにもいきませんものね」

「トキお兄ちゃん。起きて!」

軽くユズがトキの体を揺らします。これで起きるといいんですけど……。

「…………ん、っ」

「あ!起きた!」

よかった、と思ったのも束の間でした。

ビクリ、と縛られていても分かるほどトキの体が震えたのです。

「え?」「トキ、お兄ちゃん……?」

いやな予感が、いたしますわ……!

「ヒュ、ぁ”、ごめんなさい、いやだやめてごめんなさいごめんなさいっ……ヴァ、アァングッ」

「ト、トキさん?!」

いつものトキじゃないですわ?!焦点もあっていないですし、この表情は……!

「い”っ……ヒュッあゲホゲホ、ウヴゥ……」

瞬間、言葉では言い表せないほどのトキの恐怖、怯え、痛み、焦り、後悔、トラウマがあたくしの脳内を直接襲ってきました。

絶望が『希「望」を「絶」たれる』と書くのなら、このトキの思いはそんなものではなく、元々希望なんてない。……それよりも、もっと酷くて、暗い、何か。

あまりの強い思いに、あたくしは体を支えられなくなりましたわ。

「ユ、ユメ?」

「……ッ、大丈夫でしてよ」

あたくしは、ですけれど。トキは……一旦、落ち着かせないとヤバそうですわね。

「トキお兄ちゃん?!しっかりして!」

「ゆっくり深呼吸してくださいまし。ゆっくり、ですわよ」

「ヒュー、フッヒュッ、フー、フゥ……ぁ、みんな……?」

「トキお兄ちゃん、大丈夫?!」

ユズがそう問いかけることで、トキはようやく現実に戻ったようでした。

「……うん、大丈夫だよ。もう、大丈夫」

ゆっくりと、まるで自分に言い聞かせるように、歪んだ顔で「大丈夫」を繰り返すその様子に、あたくしは胸が痛みました。

それはあたくしだけではないようで。

「トキさん、絶対大丈夫じゃないですよね?!一体何があったんですか……?オレたち、仲間ですし、話してくださいよ……!」

けれども、トキは首を左右に振りました。

「……ごめん。話したく、ないんだ」

「どうしてですの……?」

loading

この作品はいかがでしたか?

5

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚