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ゆゆゆゆ
#Paycheck
夜のピザ屋。
店のカウンターの上。
空のグラス。
エリオットは椅子に座っている。
頬が少し赤い。
チャンスが言う。
「……お前」
エリオット。
「ん?」
チャンスはグラスを見る。
「弱いだろ」
エリオットはにこにこ。
「そう?」
チャンスが言う。
「ワイン一杯だぞ」
エリオットは少し首を傾ける。
金髪の天然パーマが揺れる。
「ふわふわする」
チャンスは呆れる。
「ほら見ろ」
エリオットはカウンターに腕を置く。
それからチャンスを見る。
にこにこ。
「チャンス」
「ん」
エリオットが言う。
「今日帰らない」
チャンスが笑う。
「言っただろ」
「帰らない」
エリオットは満足そう。
それから――
ネクタイ。
ぐい
チャンスが前に引かれる。
「……」
チャンスが言う。
「酔っててもそれか」
エリオットは少し近づく。
距離が近い。
「チャンス」
「何」
エリオットは少し考える顔。
それから真顔。
「チャンスって」
チャンス。
「?」
エリオットが言う。
「かっこいい」
沈黙。
チャンス。
「……」
エリオット。
「……」
チャンスが笑う。
「酔ってるな」
エリオットは頷く。
「たぶん」
それからまたネクタイ。
ぐい
チャンスが言う。
「おい」
エリオットが顔を近づける。
「チャンス」
「なんだ」
エリオットが小さく言う。
「逃げないで」
チャンスが眉を上げる。
「逃げてない」
エリオット。
「ほんと?」
チャンス。
「ほんと」
エリオットはしばらくチャンスの顔を見る。
それから急に。
頭をチャンスの肩に乗せる。
チャンス。
「……」
エリオット。
「ふわふわ」
チャンスが言う。
「寝るな」
エリオット。
「寝ない」
でも少しだけ目が閉じかけてる。
チャンスがため息。
「お前」
エリオット。
「ん」
チャンス。
「こんな顔するのか」
エリオットは小さく笑う。
「どんな?」
チャンスは答えない。
エリオットがまたネクタイを軽く引く。
ぐい
チャンスが言う。
「だからやめろ」
エリオットは目を細めて笑う。
「チャンス」
「何」
エリオットが小さく言う。
「好き」
静かな店。
チャンス。
固まる。
エリオットはそのまま。
少しだけ眠そうな顔で。
チャンスの肩に寄りかかっている。