1枚だけ

夕陽と渡辺を撮り、帰ることにした。

向井の家に着いたのは午後９時前だった。

洗い物を済ませ、渡辺も、向井のTシャツを着てハーフパンツを履いている。

向井ー翔太くん、ちょっと遅うなったけど晩ご飯食べるか？

渡辺ーん、ちょっとお腹空いたかも。

向井ー急いで作るわな。

渡辺ーゆっくりでいいぞ。

向井ー下準備はして行ったさかい、すぐ出来るから。

渡辺ーいい嫁さんもらったなぁ。

向井ーそやろ？

渡辺ーふふふ。

向井ー寝たらあかんで。

渡辺ー見てる。

向井ーほい、味見。

渡辺ーんまい！

向井ーもう出来る。

渡辺ー段取りいいなぁ。

向井ー早よ食べよ？

渡辺ー箸出したらいい？

向井ー頼むわ。

時間が遅いので軽めの晩ご飯。

コーヒー飲んでホッとひと息。

渡辺ー康二、後なにを撮るつもりだ？

向井ーへっ？

渡辺ーいつもなら、すぐ暗室に行くじゃないか？

向井ーいや、深い意味はないけど。

渡辺ー撮りたいんだろ？

向井ーあかんて分かっとる。

渡辺ー・・1枚だけならいいぞ。

向井ーほんま？！

渡辺ーちゃんと俺に集中してるなら構わないけど？

向井ーどんな写真でもええの？

渡辺ー人に見せるなよ？

まさかOKしてくれるとは思わなかった。渡辺を抱きしめる。

たった1枚。

渡辺をシャワーに行かせて、向井はドキドキしてきた。

どこを撮ろう？

向井も、夢中になってしまうから、撮れるか心配だ。

渡辺が腰にバスタオルを巻いて出てきた。

向井が入れ替わりに入る。

同じようにバスタオルを巻いて出てきた。

向井ー翔太くん、ほんまにええの？

渡辺ー恥ずかしいけど、誕生日プレゼントだ。

向井ーありがとう。嬉しい。

渡辺を抱きしめながら、向井は泣く。

「泣き虫だなぁ」と笑われたが気にしない。

何度も渡辺にキスをする。

寝室に入ると、渡辺の写真が並んでいる。

渡辺ー飾るなよ？

向井ー普通サイズでええねん。大事に持っとく。

普通サイズで現像して、枕元に仕舞うつもりだ。