テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#❤️💙
みら

19,807
207
コメント
1件
ああもう、今回のエピソードめちゃくちゃ良かった…! 前回のシリアスな展開から一転して、九人で夢の国に行くっていう、まさに「夢の中の夢」みたいな一日。阿部が「お腹空いた」って自然に言えた瞬間、なんかこっちまで泣きそうになったよ。昔は食べられなかったのに、普通に空腹を感じられるって、それだけで大きな回復なんだなって。 それに、みんなで写真撮って、はしゃいで、食べ歩きして…一人ひとりの個性がちゃんと生きてて、読んでるこっちも一緒に遊んでる気分になった。特に深澤がジェットコースターで叫びながらも「心臓を休ませる時間は必要」って言い訳するとこ、好きすぎる(笑)。 最後の「ただいま」「おかえり」のやり取りで、もう心が温かくなった。この世界が夢でも、感じた幸せは本物だって思わせてくれる話だったよ。 みらさん、今日もいい時間をありがとう。続き、楽しみにしてる🔥
27
目を覚ました時。
部屋の中は、もう夕方の色になっていた。
阿部はしばらく天井を見つめたまま動かなかった。
「……寝た」
隣を見る。
目黒も眠っている。
朝。
バーから帰ってきて。
少し話して。
そのまま眠った。
多分。
かなり長い時間。
阿部は枕元のスマホへ手を伸ばした。
「……夕方?」
思わず声が出る。
その声で。
目黒がゆっくり目を開けた。
「ん……」
「めめ」
「何時?」
「夕方」
「寝たね」
「寝すぎた」
「徹夜したから」
目黒はそう言って、また目を閉じようとする。
阿部が少し笑った。
「また寝るの?」
「あべちゃんが寝るなら」
「俺は起きる」
「じゃあ起きる」
目黒も身体を起こす。
髪は少し乱れていた。
阿部はそれを見て。
不思議なくらい安心した。
昨日。
全部思い出した。
この世界が夢だとも知った。
現実では。
自分がまだ目を覚ましていないことも。
それでも。
目を覚ませば。
隣に目黒がいる。
そのことは。
何も変わらなかった。
「お腹空いた?」
目黒が聞く。
阿部は少し考える。
「空いた」
その一言を言ってから。
自分で驚いた。
昔。
最後の頃。
何も喉を通らなかった。
食べることさえ苦しくて。
目黒や宮舘が何を用意してくれても。
ほとんど食べられなかった。
でも今は。
普通に。
お腹が空いている。
目黒も。
同じことに気づいたらしい。
一瞬だけ。
表情が柔らかくなった。
「何食べたい?」
「んー」
阿部は考える。
「めめが作って」
「何でも?」
「うん」
「じゃあ肉」
「めめが食べたいだけじゃん」
「バレた?」
「分かりやすいよ」
二人で笑う。
目黒がキッチンへ向かう。
阿部はベッドから出て。
そのあとをついていった。
料理をする背中を見る。
夢の中で。
何度も見た背中。
現実でも。
何度も見ていた背中。
どちらの記憶も。
今はちゃんと同時にある。
「めめ」
「ん?」
「手伝う」
「いいよ、座ってて」
「嫌」
「なんで?」
「俺も作る」
目黒が振り返る。
少しだけ嬉しそうに笑った。
「じゃあお願い」
「何すればいい?」
「野菜切って」
「了解」
阿部は包丁を持つ。
目黒の隣。
二人並んで。
夕飯を作る。
特別なことは何もない。
でも。
こういう時間が。
今は一番嬉しかった。
食べ終わったあと。
阿部はソファへ座り。
スマホを開いた。
夢の国のチケット。
九人分。
ちゃんとある。
「明日、本当に行くんだね」
「うん」
目黒が隣へ座る。
「九人で」
「目立ちそう」
「現実ならね」
「ここでも九人いたら目立つでしょ」
「でも誰も俺たちのこと知らない」
「そっか」
それだけで。
急に現実との違いが分かる。
九人で歩いても。
囲まれない。
写真を撮られない。
誰かに見つかる心配もない。
好きなだけ。
遊べる。
阿部は少しだけ笑った。
「楽しみ」
「俺も」
「めめ、一回目より楽しみ?」
目黒は少し考える。
「同じくらい」
「ほんと?」
「一回目はあべちゃんと二人だったから」
「……」
「今回は九人だから」
「そういうこと普通に言うよね」
「何が?」
「恥ずかしいこと」
「事実だよ」
阿部は顔を逸らす。
でも。
少し笑っていた。
その夜は。
早めに眠った。
明日。
朝から遊ぶために。
目黒にくっついて。
何も考えずに。
眠った。
そして。
翌朝。
阿部のスマホが。
ものすごい勢いで鳴った。
「……何」
目を開ける。
通知。
通知。
通知。
グループのメッセージ。
佐久間。
『起きてる!?』
康二。
『おはよー!!!!』
ラウール。
『もう準備できた』
岩本。
『ふっか起きない』
深澤。
『起きてる』
渡辺。
『朝早すぎ』
宮舘。
『翔太も起きてるよ』
渡辺。
『勝手に報告しないで』
阿部は。
画面を見ながら笑った。
「めめ」
隣の目黒を揺らす。
「ん?」
「みんなもう起きてる」
目黒が目を開ける。
「何時?」
「まだ早い」
「佐久間くんでしょ」
「なんで分かったの?」
「絶対一番うるさいから」
「正解」
阿部は佐久間へ返信する。
『起きたよ』
送った瞬間。
既読。
すぐに返ってきた。
『やった!!!!!!!』
「元気だな……」
目黒も笑う。
支度をして。
二人で部屋を出る。
集合場所はカフェの前。
歩いていくと。
遠くからでもすぐ分かった。
「いる」
「いるね」
もう全員揃っていた。
「遅い!」
佐久間が言う。
「集合時間前だよ」
阿部が返す。
「楽しみすぎて早く来た!」
「子どもじゃん」
「夢の国の日はみんな子ども!」
「名言みたいに言わないで」
康二が笑いながらカメラを向ける。
「はい、まず一枚!」
「まだ行ってもないよ?」
「出発前も大事やろ」
シャッター音。
九人。
朝。
カフェの前。
全員。
眠そうだったり。
楽しそうだったり。
バラバラ。
でも。
ちゃんと九人。
阿部はその光景を見ながら。
胸の奥が少し熱くなる。
「じゃあ」
岩本が言う。
「行く?」
佐久間が手を上げる。
「行こー!」
康二も続く。
「夢の国!」
ラウールも笑う。
「いっぱい食べる」
渡辺が呆れる。
「まだ言ってる」
宮舘は。
「食べたいものあったら全部食べよう」
と普通に返す。
深澤は岩本の腕を軽く掴んだ。
「照」
「何?」
「今日手繋いでいい?」
「今聞く?」
「大事だから」
「いいよ」
「やった」
渡辺がそれを見て。
「朝から何見せられてんの」
と言う。
宮舘が。
「翔太も繋ぐ?」
「今はいい」
「今は?」
「……あとで」
阿部は。
みんなを見ながら笑った。
目黒が隣から手を差し出す。
「俺たちは?」
阿部が見る。
「もう繋ぐの?」
「だめ?」
「……いいけど」
手を重ねる。
指が絡む。
目黒が嬉しそうに笑った。
そのまま。
九人で歩き出す。
誰も。
周りを気にしていない。
誰にも隠れない。
九人で。
好きなだけ。
笑いながら。
夢の国へ向かう。
阿部は。
繋いだ目黒の手を少し強く握った。
今日は。
帰るかどうかを考えなくていい。
ただ。
九人で。
この夢を楽しむ日だった。
夢の国へ着いた瞬間。
「うわあああ!」
佐久間が両手を広げる。
「来たー!」
「まだ入ってないよ」
阿部が笑う。
康二はすぐにカメラを構えた。
「まずは九人で写真や!」
タイマーを使い、全員で入口に並ぶ。
目黒が阿部の肩を抱くと、佐久間が笑った。
「蓮、もっとあべちゃん寄って!」
「もう寄ってる」
「写真じゃなくても近いじゃん」
渡辺が呆れる。
一枚目の写真を撮り終えると、九人は中へ入った。
「何から行く?」
岩本が聞く。
「乗り物!」
佐久間が即答する。
「食べ物!」
ラウールも手を上げた。
「写真!」
康二が続く。
結局、最初は全員で乗り物へ向かった。
深澤は「乗り物は平気」と言いながら、安全バーを何度も確認している。
「ふっか、本当に大丈夫?」
阿部が聞く。
「大丈夫!」
そう言った直後、乗り物が急降下した。
「うわああああ!」
阿部や康二が叫び、佐久間は大喜び。
深澤は岩本の腕を掴みながら叫び続けた。
降りたあと、阿部は目黒の腕を掴んだまま笑う。
「怖かったけど、楽しかった」
「もう一回行く?」
「今はいい」
深澤も息を整えながら言った。
「楽しかったけど、心臓を休ませる時間は必要」
「やっぱり怖かったんじゃん」
佐久間が笑った。
そのあとは食べ歩き。
ラウールは次々と食べ物を買い、渡辺は「いらない」と言いながら宮舘のものを一口もらう。
「美味しい」
「もう一口いる?」
「いる」
「最初から買えばよかったじゃん」
深澤が言うと、渡辺は黙って宮舘の隣に寄った。
阿部と目黒も、一つの食べ物を分ける。
目黒が「あーん」と差し出すと、阿部は照れながら口を開けた。
「見たー!」
佐久間が叫ぶ。
「うるさい!」
「夢の国でもラブラブ!」
阿部は顔を赤くし、目黒は楽しそうに笑っていた。
昼は九人で食事をした。
康二がカメラを向ける。
「みんな、普通にしてて」
「普通に食べてるよ」
阿部が笑う。
宮舘が渡辺に料理を取り分け、岩本が深澤に飲み物を渡す。
ラウールは佐久間の食べ物を一口もらっていた。
阿部はその光景を見て言う。
「こういう写真、好きかも」
「決めて撮るやつじゃなくて、普通にみんながいる写真」
康二は頷き、シャッターを切った。
午後はそれぞれ乗りたいものに乗り、パレードを見た。
音楽と光に包まれながら、阿部は目黒の手を握る。
「今日のこと、覚えてたい」
目黒は優しく笑った。
「俺も」
夜には、もう一度九人で写真を撮った。
少しブレた写真には、笑いすぎた佐久間、食べ物を持ったラウール、岩本の肩に寄りかかる深澤、宮舘を見つめる渡辺、そして阿部を見ている目黒が写っていた。
「いい写真」
阿部が呟く。
「夢の中の一日なのに、現実みたいだね」
目黒が言う。
「うん。楽しかったのは本当だった」
閉園が近づくと、佐久間が名残惜しそうに振り返った。
「帰りたくない!」
「また来ればいいじゃん」
目黒が自然に言う。
全員が少し黙ったあと、阿部が頷いた。
「うん。また九人で来よう」
帰り道。
みんな疲れて静かになっていた。
ラウールは眠そうで、深澤は岩本の肩に寄りかかり、渡辺も宮舘の腕を掴んでいる。
阿部は目黒と手を繋いで歩いた。
「楽しかった?」
「うん」
「一回目とどっちが好き?」
阿部は少し考える。
「比べられないよ。一回目はめめと二人だったから」
目黒が嬉しそうに笑う。
「今回は?」
「みんなと一緒だったから。どっちも好き」
やがて、みんなと別れる。
最後に残ったのは、阿部と目黒だけだった。
「帰ろっか」
「うん」
二人は目黒の家へ向かう。
玄関を開ける。
「ただいま」
目黒が言う。
阿部も続けた。
「ただいま」
「おかえり」
「めめも、おかえり」
二人は笑った。
夢の国から、夢の中の家へ。
九人で過ごした一日を抱えたまま、二人は帰ってきた。