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時々思うことがある。俺等なんかが100万人を達成してしまっていいのだろうか。
たしかに100万人に恥じないような活動はしてきた。けど俺等なんかより頑張っているはずなのに、報われない人だっている。そんな人たちを押しのけてしまっていいのだろうか。
実際、シクフォニのメンバーを決めるオーディションだって、俺が想像つかないぐらいの人数の人達たちが応募したはずだ。きっと、全員がアイドルとして輝ける才能があったんだろう。それでも、オーディションには受からなかった。
自分たちだけ日の目をみてしまっていいのだろうか。考え始めると、どんどん考え込んでしまう。一日中そのことが頭から離れないことだってある。
それでも、メンバーに相談はできない。みんな優しいときはとことん優しいから、余計な心配をかけてしまう。ただでさえ限界までシクフォニのために働いているのに。
誰かに、どこかで、憎まれている気がする。
気づけば、俺はまだ人々が動き始めたばかりの都心から少し離れた住宅地を歩いていた。車も人もまばらだけど、いそいそとした感じがあちこちから伝わってくる。
「まだ6時だから東京でもこの人通りか… 」
しかもここ郊外だしな。
独り言を言いながら目的の場所へ向かう。歩くにつれ、人や車が少なくなっていき、しばらく歩くと人や車は見えなくなった。
「ここならいいか」
居酒屋では歌うの拒否ったくせに、こういうときは自分から歌いたくなってしまう。もともと、1人で歌うのが好きだったから。
「何歌おうかな〜」
決めたこれにしよう。
「♪意地になって 口を…ってあれ?」
おかしいな俺が音程外すなんて。
「♪意地になって…。いや待て!」
おかしい一個も音程が合わない。さすがに歌いすぎたのか…?ライブに居酒屋でカラオケ大会。今思えば歌いすぎなぐらい歌ってたわ。
帰ったら速攻で吸入器使わないとだめだな。あの機械を喉にプシューってやるだけで喉の調子が良くなるなんて、今でも信じれないけど。VOISINGにいた頃、先輩たちの間で吸入器ブームだったから俺もかったんだよなー。結構高くて俺が買ったやつは7000円もした。
考え事をしているうちに目的地に着いた。築10年という新しいアパートだ。じっくり見ても傷やシミが見つからないぐらいきれいな建物だけど、それ以外は至って普通のアパート。家を探してた時に住居探しのサイトで外観が良かったからここにした。
建物の向かって右側にある階段を登って、行き止まりになったところに俺の部屋がある。
階段を上ると金属がぶつかったときの特有の音がした。2階に着いたら廊下に出て住人を起こさないように静かな足取りで向かった。扉のまえまで来たら、ポケットから部屋の鍵を取り出して挿し込む。
(ガチャ)
中に入って、ドアを閉めたらベットに直行して、そのままゴロンとベットに体重を預けた。
「やっと休める…」
ライブ後なのにあいつらの相手もこなしてよく頑張ったわ俺…。今はゆっくり寝るか。
12時ぐらいまでねて、その後シクフォニのショートの投稿と編集やろ。
布団を体にかけて、ふうと一息ついたら数秒で眠ってしまった。
「カアー カアー カアー」
「ううん…」
真っ昼間からカラスがうるさく鳴いている。そう思った。まぶたを開けて窓から外を見た。外を見た。目をこすってみた。自分をひっぱたいてもみた。それでも外の景色は変わらない。
「はぁぁ?!」
驚いた。もう太陽が地平線から空をオレンジ色に染めていたもんだから。大急ぎで体を起こして、時計を見る。
「今何時だ…!5時!大遅刻じゃねえか!」
目をキマらせながらでパソコンのある部屋までダッシュで向かう。ドアに足の指をぶつけた気がするけど、今はそんなの関係ない。
早くしないとあのクソメンヘラリーダーにナイフ突きつけられちまう!
目に涙を浮かべながら、部屋に到着した俺は椅子に座ってパソコンを起動させる。
あーもうパソコン早く起動しろよ!