868ロスヨントス組
警察時代捏造ノベル
本人や実際のストグラ内のストーリーとは一切関係ない捏造ノベルです。
事実と捏造を混同しないようにお気をつけください。
本編⤵︎ ︎
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音鳴が「夕コ刃弐の分も弁当を作ってくる」と言った翌日から、なんだかんだ音鳴は毎日夕コと刃弐の分も作ってくることが当たり前になり、弁当を渡す流れでなんだかんだ一緒に昼食を食べるようにもなり、最近は4人で大きなテーブルを囲んで食べるのが日課になった。
少し前までは1人でさっさと栄養を補給するだけだった昼食が、いつの間にか一日のうちでいちばん充実した時間になっていた。
音鳴
「そういえばさぁ、夕コと刃弐ってなんで警察になったん?」
夕コ
「俺は憧れた人が警察官だったからかな」
音鳴
「へぇーめっちゃいいやん。その人は会えたん?」
夕コ
「うん。無事会えたよ」
音鳴
「すげぇー。え好きになったりとかはしやんの?」
夕コ
「憧れは憧れだよ。どんな感情よりも上だからそれ以上でも以下でもない。」
音鳴
「んーようわからんわ。刃弐は?」
夕コ
「俺は元々車とかバイクとかが好きだったんだけど、常に乗れる仕事って何かなって考えた時に警察がでてきた。」
音鳴
「いや絶対もっとほかにあったやろ」
刃弐が警察になった理由を俺はこの時初めて知ったけどまさかそんな理由だとはおもわなかった。確かに他の仕事絶対あったなって思ったけど、きっと刃弐の中にはなんか美学があるんだろうな。
と思いつつ、食べながら話を聞いていた。
音鳴
「じゃあ今警察になったわけやけどさ、なんか目標とかあるん?」
夕コ
「この街のタコを一族郎党皆殺しにしてたこ焼きを作ることかな。」
音鳴
「夕コお前適当ばっかりやん」
刃弐
「俺は無難に音鳴を超える」
音鳴
「刃弐には無理よぉ!」
刃弐
「いーやすぐだね」
夕コはまた適当言ってるし刃弐はすぐ音鳴を煽るし、やっぱりこういう時はyes,noの答えやすい質問を出すに限るよな、と思い、俺は2人に問いかけた。
レダー
「じゃあさ、君ら昇進とか興味無いの?」
音鳴
「あーたしかに!入ってから結構経ってるしなぁ。俺は階級4やしレダーも5やから全然試験見たるけどな」
刃弐
「俺は興味無いかも」
夕コ
「俺も無い」
レダー
「えーそうなんだ。君ら首席と次席なんだから俺らが試験見れば正当に昇進できるし、あがろうと思えばすぐ上がれるよ?」
音鳴
「そうね。まぁ5までならレダーが昇進試験見れるからお前らなら早くて2年、遅くて3年で上がれるやろなぁ」
刃弐
「5までなら?」
この警察組織ではグレードが0〜6まであり、昇進試験は昇進したいグレードが3だとするなら、3以上の上官が試験監督を務めないといけない。
つまりシステム上、俺が見れる昇進試験は5までということ。
音鳴
「そうそう。俺は4まで、レダーは5まで見れるかな。6の昇進試験はそもそも特殊やし。」
レダー
「そうね」
刃弐
「特殊ってどう特殊なの?」
レダー
「グレード6の上官2名からの推薦でなれるんだよ。」
刃弐
「あぁー……」
夕コ
「なるほどね。」
グレード6の上官2名の推薦。このハードルは一部の人にとってはとても高く、一部の人にとってはとても低い。
なぜなら、金で解決するから。
今、この街にグレード6の警官は5人いるけど、そのうちの5人全員が金でグレード6を買ってる。
言ってしまえば誰でもなれるってこと
音鳴
「レダーにもグレード6の推薦来てたことはあってんけどな」
刃弐
「え?レダーさん推薦来たことあるの?」
レダー
「あぁー……まぁね」
夕コ
「なんで断ったの?」
レダー
「…今この街での“グレード6の警官”て肩書きなんて、“自分は立場を金で買いました”って言ってるようなもんでしょ。」
刃弐
「でも買ってないんでしょ?」
レダー
「もちろんね。でも肩書きは事実でも虚像でも色んな人のイメージにずっと付きまとうから。」
夕コ
「じゃあなんで買ってないのに推薦が来たの?」
音鳴
「すごい質問攻めやなw」
俺は昔話をするのはあまり好きではないが、こいつらになら話してもいいかと思えた。
こいつらの学びになってくれるならいいかなと、その時は軽い気持ちだった。
レダー
「んー…俺が珍しかったから……かな?」
刃弐
「珍しかった?」
レダー
「俺もグレード5になるまでは街のために一生懸命働いて市民交流もいっぱいするいい警官だったの」
音鳴
「自分で言うんかい」
夕コ
「うるさいよ音鳴」
音鳴
「えぇ」
レダー
「んふふwでね、何となく俺についてきてくれる真面目な警察の子達も増えてったわけ。音鳴もそのうちの一人……だよね?」
音鳴
「まぁなんか恥ずかしいけどな」
刃弐
「へぇー」
夕コ
「……」
レダー
「まぁ俺を慕ってくれる人が増えるのはすごく嬉しかったんだけど、増えれば増えるほど上層部の目に付くようになっちゃったの」
「それで、組織内での反乱を恐れた上層部が俺を金で取り込んで部下たちまで全部操ろうとしたんだよね。」
刃弐
「なるほどね」
レダー
「で、まぁそんなのを受け入れるわけもなく、無理ですって拒否ったの。」
「そしたら次の日から俺の部下たちが原因不明の事故を起こして現場復帰できなくなったり、退職を余儀なくされたり、そうなるのが怖くて自ら辞職届を俺に出しに来たりするようになって、1ヶ月も経たないうちに俺と音鳴だけになっちゃった」
音鳴
「あれはまじでやばかったな」
刃弐夕コ
「「……」」
レダー
「ま、まぁ今そいつらは別の街に引っ越したりして平和に暮らしてるんだけどね」
思ったより暗い空気になってしまって少し動揺した。
まぁ普通はこうなるんだけどね。
なんて考えながらも空気を変えようと話し始める。
レダー
「だからまぁ俺のグレード5は実質6ってわけ!」
音鳴
「そ、そうそう!」
夕コ
「…るよ」
レダー
「……え?」
なにか聞こえた気がしたが、気のせいかとも思った。でも夕コは少し俯いていた顔を上げて まっすぐ言い放った。
夕コ
「俺が正しいグレード6になるよ」
「それでレダーさんも音鳴さんも刃弐も、俺の好きなやつら全員不幸にならない組織作るよ 」
レダー
「夕コ…」
今まで何を聞いても適当なことしか答えなかった夕コが、見たことの無いような真っ直ぐな瞳で宣言した。俺たち意外に誰も居ない休憩室によく響く声だった。
刃弐
「夕コさんがそう言うなら俺も頑張るよ」
音鳴
「言うねぇ夕コ、俺も負けてられんわ」
レダー
「…くれぐれも無理しないようにね」
今思えば、この話をしたことで夕コの人生を変えてしまったのではないかと思う。
良くも悪くも。ね
つづく
コメント
1件
かっけぇっす…夕コ先輩…!!