今日も金のために仕事するぞー!
と、一息ついて
昨日から残っている“自分の分”の仕事を片付ける。
人の仕事は、後回しでいいのに……
持ち歩いているノートパソコンと、会社用の大きなパソコンを照らし合わせて、間違いがないかチェックする。
その後、後輩がやった書類のチェック。これさっきの上司にやらせればよかったかな。
仕事をはじめて数分後
「向井さん、社長がお呼びです。」
後輩の女の子が、俺のデスクに近づいてボソッと呟いた。
「社長…!?なんで?」
「わかんないです。なんかやらかしたんじゃないですか?笑」
この後輩とはあまり喋った事ないし、仕事チェックもしたことがない。なんでそんな事言われないといけないの?
俺をいじられキャラにしたいならやめてほしい。
「……はは笑 やらかしたかもな…」
と、適当に返事をして社長室に足を運んだ。
社長室に入ると、笑顔で社長が待っていた。
つくり笑顔でもない、自然な笑顔。
「失礼します…」
「おぉ〜!向井くん!最近君忙しいだろ?」
「え?」
「無理せずにきちんと言いなさい。」
「まぁ…確かに、仕事頼まれたりはしますけど…」
「自分の仕事はできてるか?」
「あまり…今日はそれをしようと思ってて…」
「そうか……」
しばらく社長は黙って、卓上カレンダーと社員名簿を取り出した。
「君は仕事ができていて、素晴らしい。でもしばらく休んでみないか?」
「え?」
「有給とは別だ。忙しいと思うだろうから、ゆっくり地元にでも戻って、美味しいもの、夢中になれるものを探して、とにかくゆっくりしなさい。」
「…でも、仕事は?」
「それがこの名簿とカレンダー。」
名簿には仕事のできる先輩の名前と、印。
色々聞いてみると、仕事ができる人物を一旦休ませてみて、その期間会社でしっかり回るのかを調べるためらしい。
回ったら、その人は別の支社で
回らなかったら、その会社で部長として働く。
「じゃあ俺は……」
「部長あたりに昇格してもいいんじゃないかな。」
「…ありがとうございます……!!」
「入社2年でここまで来たのは君しかいない。よくやってる!」
「でも…早くないですか?一般社員からいきなり部長って……」
「よく仕事頼まれるでしょ?あれ昇格に関わる難しい仕事入ってたりするから、ガンガン上がるんだよ」
「…そうなんだ……!!」
俺は、仕事を頼まれてよかった…?
使われてよかった…?
とにかく俺は二週間の休みをもらって、地元に帰ることにした。
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