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第4話「涙に咲く星」
※糸師凛視点
夜だった。
また眠れない。
咳をするたびに花びらが落ちる。
床には白い花が散らばっていた。
「……最悪だ。」
そう呟いた瞬間だった。
ぽたり。
頬に何かが落ちる。
汗じゃない。
涙だった。
「……は?」
目を擦る。
だが次の瞬間。
涙は淡く光り始めた。
小さな星の欠片のように。
そして床へ落ちると、きらりと輝いて消えた。
意味が分からない。
花を吐くだけでも異常なのに。
今度は涙までおかしくなった。
その日からだった。
潔のことを考えるたびに。
涙が零れるようになったのは。
しかも普通の涙じゃない。
星のように輝く涙。
誰にも見せられない。
絶対に。
翌日。
練習中。
「凛!」
潔の声が聞こえる。
無意識に視線を向ける。
目が合った。
その瞬間。
胸が締め付けられる。
苦しい。
痛い。
それなのに目を逸らせない。
「ナイスシュート。」
潔が笑う。
ただそれだけだった。
なのに。
ぽたり。
涙が落ちた。
「っ!?」
慌てて顔を逸らす。
幸い誰にも見られていない。
そう思った。
「……凛?」
潔以外には。
「何だ。」
振り返る。
そこには玲王がいた。
「今、泣いてた?」
「泣いてない。」
即答する。
だが玲王は首を傾げた。
「いや、見えた気が……」
「気のせいだ。」
玲王を無理やり追い払う。
だが嫌な予感がした。
隠しきれなくなっている。
花も。
涙も。
感情も。
その日の夜。
ベッドに座りながら考える。
花を吐く。
星の涙を流す。
原因は分かっている。
認めたくないだけだ。
潔世一。
その名前を思い浮かべた瞬間。
ぽたり。
また光る涙が落ちた。
そして。
「ゴホッ……!」
大量の花びらが溢れ出る。
息が苦しい。
視界が滲む。
床に散らばる花。
光る涙。
俺は震える手で顔を覆った。
「……ふざけるな。」
こんな感情。
知りたくなかった。
認めたくなかった。
それなのに。
胸の奥は。
もう答えを知っていた。
次の日。
朝早く。
誰もいないはずの廊下で。
俺は再び咳き込んだ。
花びらが落ちる。
涙が零れる。
そして。
「凛!?」
聞き慣れた声が響いた。
最悪だ。
振り返る。
そこには潔が立っていた。
床に散らばる花。
光る涙。
全部。
見られてしまった。
潔は言葉を失っていた。
俺も動けなかった。
静かな廊下で。
二人の視線だけが交差する。
そして潔がゆっくり口を開く。
「……凛、お前、本当に大丈夫なのか?」
その優しい声を聞いた瞬間。
また一粒。
星の涙が頬を伝った。
第5話へ続く
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コメント
1件
みぅ🤍🥀だよ〜 第4話、読んだ……。 凛、どんどん自分を閉じ込めてる感じがして、胸がギュッてなった。 花も涙も隠せなくなって、ついに潔に全部見られちゃうところ、心臓が止まるかと思ったよ……。 特に「ふざけるな」って震える手で顔覆う凛が、痛いくらいリアルで。 好きって気持ちを認めるの、凛にとってはこんなにも苦しいんだね。次、どうなるか気になるけど、今はただ凛の存在が、誰かに優しく届いてほしいって思ったよ。