この作品はいかがでしたか?
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「お帰りなさい、社長」
「あぁ、ただいま」
クロコダイルを出迎えながら、俺はコートを受け取る。このもふもふがな…たまらんのですわ…。
この人の付き人、世話人? として過ごしてみて分かったのだが、案外喋ってくれる。あと俺を撫でる。撫でやすい位置に頭があるんだろうか。社長でかいっすもんね!!
俺はソファに座って葉巻を吸う彼を見ながら、コートをハンガーにかける。
それから、キッチンへと向かい、紅茶の準備を始めた。紅茶の香りが部屋に広がる。俺はティーポットに茶葉を入れながら、彼の方を見た。彼は相変わらず、気だるげな雰囲気のままソファに座ったままだ。長時間の仕事明けは案外ああいう風にぼうっとするんだよな。
「社長ー? 夕飯どうしますー?」
俺が声をかけると、クロコダイルはチラリとこっちを見て、一言だけ返してきた。
「何でもいい」
それ料理する奴がいっちゃん困るやつ~~~!! でも俺もう慣れたよ。はいはい。じゃあ俺の好きなやつにしましょうね~。
「はい紅茶入りました、食事はもう少し待ってくださいね」
俺はクロコダイルの前に湯気が立つカップを置いてからまたキッチンの方に戻る。さて、今日は何を作ろうかな。俺は冷蔵庫の中を確認しながら、思考を巡らせた。クロコダイルって確かトマト好きだよな~。パスタか?いや、俺肉食べたいな~……。
……よし、決めた。今日のメニューはビーフシチューとサラダ、パンにしよう。
そうと決まれば早速取り掛かろう。俺は袖を捲り上げながら、食材の下ごしらえに取り掛かった。
ビーフシチューを作り終え、盛り付けをしているときにふと思う。
俺、社員っていうより、クロコダイルのメイドやってね?使用人してね?いや、いいんだけどさ。俺家事とか好きだし、全然良いんだけども…。
食事をトレーに乗せ、リビングまで運び、テーブルの上に置く。
「どうぞ、召し上がれ」
「…てめぇのは?」
「まだキッチンにありますよ。……ここで一緒に食べても?」
俺が聞くと、彼は小さく息を吐いて頷く。キッチンに戻って俺は自分の分の皿を持ってくる。
「いただきます」
さっき使用人っぽいって自分でも思ったけど、こうやって向かい合わせでご飯食べるのは使用人とは違うし……クロコダイルって俺のことどういう風に思ってんだろ?ただの社員にわざわざ食事作らせたりしないよな?あれ、やっぱ俺って結構特別扱いされてたりする?
……わっかんねぇな~~!! 俺がそんなことを考えているうちにクロコダイルは食事を終えていた。
「おれは部屋にいる、何かあったら呼べ」
「はーい」
俺は食器を下げて、洗い物を始める。この後は風呂入って、明日の予定確認したら寝るか。
「……いややっぱ俺メイドじゃね?」
思わずそう呟きながらも、俺は黙々と作業を続けた。
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