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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第39話 〚歪んだ計算〛
――西園寺恒一視点――
修学旅行の資料を、
何度も見返していた。
班。
部屋。
——同じだった。
澪と、海翔。
(……やっぱりか)
胸の奥で、
黒いものがじわりと広がる。
海翔の名前を見るだけで、
歯の奥がきしむ。
(全部、あいつのせいだ)
守るふりをして。
正しいふりをして。
澪の“隣”に、
当然みたいに立っている。
(俺は、
外にいるのに)
視線を落とすと、
「部屋割り」の文字が滲んだ。
——その時。
ふと、
よくない考えが浮かんだ。
(もし、
誰もいない時間があったら……)
胸が、
ぞくっと冷える。
自分の思考に、
自分で驚いた。
(……何考えてるんだ、俺)
それは、
“思いついてはいけない線”だった。
一歩でも踏み出したら、
戻れない。
西園寺は、
資料を強く握りしめた。
(違う)
(俺は、
そんなことをする人間じゃない)
でも、
頭は勝手に計算を始める。
移動時間。
点呼。
自由行動。
——気づいた瞬間、
一気に怖くなった。
(……ダメだ)
これは、
澪のためじゃない。
ただの、
自分の歪みだ。
その日の夜。
西園寺は、
眠れなかった。
危険なのは、
海翔じゃない。
——自分自身だと、
初めて分かってしまったから。