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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第40話 〚嫌な予感が確信に変わる回〛
――海翔視点――
最初は、
ただの違和感だった。
修学旅行の準備が進んで、
班も、部屋も決まって、
表向きは何も問題がない。
——はずだった。
(……なんか、変だ)
西園寺恒一の視線。
直接澪を見ているわけじゃない。
でも、澪の“周囲”を数えているような、
そんな目。
(前から、こんな見方してたか?)
廊下ですれ違った時。
教室で座っている時。
点呼の時。
いつも、
一拍遅れて、
視線が動く。
(……嫌な感じ)
海翔は、
無意識に澪の立ち位置を確認していた。
澪は、いつも通りだった。
友達と話して、
少し笑って、
何も気づいていない。
——だからこそ、
胸がざわつく。
(澪が気づいてない“何か”がある)
その日の放課後。
修学旅行の最終確認で、
担任が教室を出た瞬間。
西園寺が、
小さく息を吐いた。
それが、
なぜか引っかかった。
(……今の、何だ?)
解放感でも、
諦めでもない。
——計算が終わった人の顔。
海翔の中で、
点と点が一気に繋がった。
・班に固執したこと
・部屋割りを知った時の沈黙
・最近の視線の動き
・そして今の表情
(……まさか)
確信に変わった瞬間、
背中が冷えた。
(澪を“見て”るんじゃない)
(澪に近づく“隙”を見てる)
海翔は、
机の下で拳を握った。
(……ダメだ)
(これは、
放っておく類じゃない)
でも、
騒ぐわけにはいかない。
澪を不安にさせない。
クラスを乱さない。
それでいて——
(確実に、守る)
視線を上げると、
澪がこちらを見ていた。
何も知らない顔で、
小さく首を傾げる。
海翔は、
いつも通りの笑顔を返した。
(大丈夫)
(俺が、
気づいてる)
その瞬間、
海翔の中で決まった。
——修学旅行中、
澪から目を離さない。
それが、
“嫌な予感”から生まれた
確信だった。
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