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食事中でも、兄さんは楽しそうに経験してきた事を話してくれた。
「主炎がまだ生まれて少しの頃な、デッカイ雪だるまを家の前に作った事があるんだ」
イタズラっぽく笑いながら、兄さんはいつも楽しそうだった。
「マジで、昔の話は辞めてくれ」
そんな兄さんに呆れながら、兄貴はいつも困ってそうだったけど、兄貴はそれすらも楽しそうだった。
「いや〜、ヤンチャしてた頃の主炎も可愛かったな〜」
頬を緩めながら、兄さんはニヤニヤ笑ってる。
「可愛いって言うな」
兄貴は毎度イジられててちょっとだけ、共感した。俺も、よく兄さんには頭をもみくちゃにされたりするから。
でも、俺も時々兄貴に「可愛い」って言われて結構イヤだから、兄さんにイジられてる兄貴を見ると、内心「ザマァ」って思ってた。
「ん、兄貴はカッコいいぞー」
兄貴の表情筋は、この兄弟で話している時によく動く。
そんな兄貴を見てると俺も嬉しくなる。だから、俺もちょっと兄貴をイジりたくなった。普段の恨みも返してやろうと思う。
「棒読みにも程があるだろ!」
最近、兄貴のツッコミのスピードが上がってきてる気がする。
でも、そんな事を言いつつも兄貴は嬉しそうに笑ってる。
兄さんにも、兄貴にも、俺が適当そうに言った言葉は秒速でバレる。
「よし!主炎が勝手に黒歴史とか言ってる、主炎がヤンチャしてた頃の思い出話、沢山するか!」
兄さんもこの明るくて、温かくて、優しい空気の中で、兄貴を更にイジり倒したくなったのか、今までに見た事の無い程のニヤニヤとした笑顔でそう告げた。
「マジで辞めろ!」
兄貴はそんな兄さんを必死こいで阻止している。
「あの日は、猛吹雪でな〜、主炎は余裕ぶっこいで、外に出てな〜」
兄さんはそんな兄貴の制止をものともせず、俺に愉しげに話し始めた。
俺もちょっと気になるから、兄貴の制止を振り払って耳を傾けてた。
「本気で辞めてくれ!」
そんな雰囲気が可笑しくって可笑しくって、最高に楽しくて、俺まで沢山笑った。