tg視点
放課後、下駄箱向かう途中にあっとくんに連絡した。
すぐに返信が返ってきた。
下駄箱の前で待ってくれているようだ。
at お、来た
軽く手を挙げて笑う。でも、どこかぎこちない気がした。
at 昔はよく一緒に帰っての懐かしいな
そう言われて、懐かしさが胸に広がる。小学生の頃は、放課後になると当たり前のように並んで帰っていた。
tgうん!そうだね!
俺が頷くと、あっとくんはどこか安心したように笑った。
at よし、じゃあ行くか
校門を出て、並んで歩き出す。ほんの少しの沈黙が、落ち着かなかった。
at 最近さ、ちぐ忙しそうだったよな
tg うん、まあ課題とか色々あってさー!
at そっか、でも、無理すんなよ
あっとくんの声は、優しかった。
tg うん!
そんなやり取りをしていると、不意に俺のスマホが振動した。
tg あ、先輩?
画面に表示された名前を見て、つい声に出してしまう。
at ぷりっつ先輩?
あっとくんの声が、わずかに沈んだのを感じた。
俺が通話ボタンを押すと、先輩のいつもの声が聞こえる。
pr『ちぐ、まだ学校?』
tg えっと、今帰ってる途中です
pr『そっか、じゃあ駅前で待ってるから、ちょっと寄ってこいよ』
tg あ、えっと…..
pr『この前話してた新作のクレープ、一緒に食いに行こうぜ』
唐突な誘いに、一瞬言葉が詰まる。
少しの沈黙。
その間に、隣のあっとくんがそっと視線を逸らすのが見えた。
気のせいかもしれない。でも、どこか寂しそうに見えた。
tg すみません、今日はちょっと用事があって!
気がついたら、そう答えていた。
pr『あ? なんだ、そうか、じゃあまた今度な』
tg はい、また今度!
通話を切ると、あっとくんが少し驚いたように俺を見つめていた。
at 先輩のとこ行かなくていいのか?
tg うん!今日はあっとくんと帰るって決めたから
そう言うと、あっとくんは小さく笑った。
at そっか!
その笑顔が、なんだか少しだけ嬉しそうに見えた。
風が二人の間を吹き抜ける。
少しだけ距離が縮まった気がした。
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コメント
2件
こーゆー子を人たらしって言うんだよねっ(*´艸`) 続きも待ってるっ(っ ॑꒳ ॑c)