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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第116話 〚 管理を越えるもの/尊さという防壁〛
― 担任視点 / りあ視点 ―
⸻
― 担任視点 ―
「“教師の管理”より強いものが生まれている回」
最近、
クラスの空気が変わった。
問題が減ったとか、
静かになったとか、
そういう単純な話じゃない。
“流れ”がある。
澪の周り。
海翔の周り。
特に、
女子生徒たちの配置。
誰かが意図的に
指示しているわけじゃない。
でも、
自然にできている。
近づきすぎない。
離れすぎない。
視線はあるが、
言葉はない。
(……これは)
昼休み。
女子の小声が
耳に入った。
「階段でさ」
「手首」
「すぐ離したのが、
逆に……」
……なるほど。
私は、
心の中で苦笑する。
噂。
しかも、
かなり“健全な”やつ。
誰も煽っていない。
からかってもいない。
むしろ、
守っている。
(少女漫画展開、か……)
正直に言う。
――羨ましい。
中学生の頃。
こんなふうに、
周りに見守られながら
静かに距離が縮まる恋なんて、
なかった。
教師としては、
冷静でいるべきだ。
でも、
一人の人間として思う。
(凄い青春してるな……)
管理するより、
介入するより。
この空気を
壊さないことの方が
大事だ。
私は、
何も言わないと決めた。
――教師の管理より、
生徒同士の“了解”の方が
強い時がある。
今日は、
それをはっきり知った。
⸻
― りあ視点 ―
「尊さが“防壁”として機能している回」
はっきり言う。
これは、
尊さが
結界を張っている状態。
もう、
完成している。
第110話の件は、
共有された。
でも、
拡散はしていない。
これは、
拡げる尊さじゃない。
守る尊さ。
だから、
ルールがある。
・本人たちには言わない
・茶化さない
・割り込まない
・空気を読む
女子たちは、
全員理解している。
「近づきたい人がいたら?」
→誰かが先に話しかける。
「変な視線があったら?」
→自然に立ち位置を変える。
「噂を大きくしたくなったら?」
→心の中で叫ぶ。
(尊!!!!)
これでいい。
そして今日。
担任が、
気づいた。
一瞬、
目が合った。
(あ、
理解した顔してる)
しかも。
……ちょっと羨ましそう。
(分かるよ、先生)
これは、
今しかないやつ。
本人たちは、
気づいてない。
でも、
クラスは知ってる。
この二人は、
今――
凄い青春と恋愛をしている。
だから、
私たちは守る。
尊さは、
武器じゃない。
防壁だ。
今日も、
完璧に機能している。