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アスミは退院後、彼女と武臣の両親を交えて顔合わせが行われ、結婚が決まった。彼との生活は、表面上穏やかだった。あの事件以来、武臣は露骨に酷い態度を取ることはなくなり、アスミも表向きは安心していた。しかしお腹の中の命を思うと、どこかしら不安を感じていた。
あの晩、ダイの姿は二度と見ていない。彼が何を考え、どう行動しようとしていたのか、疑問が胸を締めつける。「あの時、私を見つけてくれたのは誰？」と武臣に聞いた。彼は「警察から通報があった」と答えたが、その冷たい言葉にアスミは絶望を感じた。
だが、もう一つの疑念が彼女を掻き立てる。噂の川の幽霊のことだ。かつてその川で友人に殺され、流された女子生徒と交際相手の幽霊が夜に現れるという話をネットで読んでいた。偶然とはいえ、あの日の出来事がその噂と繋がる気がしてならない。
「ねぇ、今晩その川に連れてって」と武臣に頼んだ。「なんで、また？」と彼が怪訝そうに聞くが、アスミは「いいから」と押し切った。その夜、川の流れは異常なほど荒れ狂っていた。
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