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そんな先輩を見て、俺の胸がキュンとする。
(やば。普通にかっこいい…)
そんなことを思いながらボーッと先輩を見ていると、先輩が悲しそうな顔で言う。
「春人くん?なんか反応して?」
そんな先輩に俺は慌てて言う。
「あ、すみません。かっこよすぎて時間止まってました」
俺がそう言うと、先輩は嬉しそうに笑う。
「ほんと?俺かっこよかった?」
「はい。めっちゃかっこよかったです。てか冬馬先輩がかっこ悪いわけがない」
「急に凄い褒めてくれるね。もしかして俺の事好きになってくれた?」
「まぁ…そうですね。好きですよ。かっこいいですし」
「やったー!やったよ!ありがと〜」
「どういたしまして〜」
そう言って先輩と翔はハイタッチをする。
「ちょっと翔。先輩に変なこと教えないでよ」
俺がそう言うと、翔はニヤニヤしながら言う。
「なんだよ〜!やって欲しかったくせに〜」
「だからやって欲しいなんて言ってないって〜」
「言ってないだけで心の中ではやって欲しいと思ってただろ〜」
「思ってないよ〜」
「でもちゃんと食らってたね。春人の心にクリティカルヒット」
そう言って翔は胸に手を当てて目を瞑りながら頷く。
「やめろバカ。てか普通に先輩と話せてんじゃん」
「なんか、緊張より佐野先輩にやらせたい欲の方が勝っちゃって…なんか今さら緊張してきたわ」
そう言って翔は先輩から離れて俺の隣に来る。
「うわイケメン。俺今このイケメンと話してたの?しかもハイタッチまで…俺に〜げよっ」
翔はそう言って席に戻っていった。残された俺と先輩は顔を見合わせてふふっと笑った。
それから先輩はよく俺に会いに俺のクラスに来るようになった。翔は図書当番をしてから委員長と仲良くなったらしく、冬馬と一緒に委員長も来るようになった。
そして秋になり、文化祭の時期がやってきた。
周りはみんな、文化祭で一緒に回りたい人を誘っている。そんな中、俺は自分の席に座って頭を悩ませていた。
ーーー数日前ーーー
文化祭が近づいている教室はいつもより騒がしい。みんな文化祭の話で盛り上がっている。一緒に回りたい人の話や出し物の話。そんな中、俺は翔に聞く。
「文化祭、一緒に回るよね?」
「あー…」
翔はそこで口を噤み、言いずらそうな顔をする。
「何。他に回る人いるの?もしかして彼女?」
「いや、彼女じゃなくてその…愛斗先輩と回る約束しちゃって。ごめんっ!」
翔はそう言って申し訳なさそうな顔をする。
「まぁ、仕方ないね。てかめっちゃ仲良くなってるじゃん。俺も一緒に回る人探さないとな〜」
「そんなの探さなくても、佐野先輩がいるじゃん」
「いやいや。冬馬先輩なんて争奪戦でしょ。無理に決まってる」
「そう?でも、他に仲良い人居ないじゃん。誘うだけ誘ってみたら?」
「う〜ん…」
ーーー現在ーーー
(とりあえず一回誘ってみないと…)
冬馬先輩は最近、文化祭の準備と受験で忙しいらしく、あまり俺に会いに来なくなっていた。
(先輩の教室。行ってみるか…)
俺はそう思って先輩の教室に向かった。教室につくと、教室の中を見渡す。そこに先輩の姿は見当たらない。
(どうしよう…)
俺が困っていると、それに気づいた3年生がこっちに来る。
「誰かに用事?」
「あ、えっと…冬馬先輩ってどこにいますかね?」
「冬馬?冬馬ならさっき他の人に呼ばれてどっか行っちゃったよ。多分、告白か文化祭のお誘いかな」
そう言って彼はニコっと笑う。
「そうですか。わかりました。ありがとうございます」
俺はそう言ってお辞儀をする。それを聞いた3年生は席に戻っていった。そして、その場から立ち去ろうとしたとき、後ろから声がする。
「春人くん。何してるの?」
振り向くと、冬馬先輩が立っていた。
「あ、冬馬先輩。ちょっと、先輩に話があって」
「話?何?」
不思議そうにそう聞く先輩に俺は勇気を出して言う。
「あの、文化祭、一緒に回ってくれませんか?」
それを聞いた先輩は目を見開く。
「春人くん、翔くんと回らないの?」
「はい。翔は委員長と回るみたいで…」
「そっか。それで、回る人がいないから俺を誘いに来たの?」
「まぁ…そうですね」
俺がそう答えると、先輩は残念そうな顔をする。
「俺と一緒に回りたいわけじゃないんだ」
「回りたいです。冬馬先輩と一緒に文化祭楽しみたいです」
俺がそう言うと、先輩は俺から目をそらす。
「…ならいいけどさ。一番に誘ってくれなかったの、ちょっと寂しい」
「それはすみません。中学でも翔と回ったから、今年もそうだと思い込んでて」
「そう。まぁ、それなら仕方ないか」
先輩はそう言って少し寂しそうな顔をする。
「あのでも、先輩もう決まっちゃってますかね。一緒に回る人」
「いや。決まってないよ」
「そうなんですか?てっきりたくさん誘われてて、一人は決めてるものだと…」
「ううん。文化祭っていつも以上に話しかけられるからいつも回らないんだよね」
「そうだったんですね…じゃあ、一緒に回れないってことですね」
俺がそう言うと、先輩は慌てた様子で言う。
「いやっ、春人くんがせっかく誘ってくれたし、一緒に回ろうよ。それに、他に回る人いないんでしょ?」
「はい。でも、いいんですか?」
「うん。いいよ。実は俺も春人くんとなら回りたいかもって思ってたから」
「ほんとですか?嬉しいです。ありがとうございます」
俺がそう言うと、先輩はニコっと笑った。
そして文化祭当日。この学校では毎年されるという女装・男装大会に翔が出た。それを見た後、俺は先輩と待ち合わせをして文化祭を回っていた。
「翔、めっちゃ可愛かった〜」
「そうだね。あのままその辺歩いてたら普通に女の子だと思っちゃうよ」
「そうですね。普通に美女」
「次、あそこ行こうよ」
そう言って先輩は指を差す。その指の先にはホラー脱出ゲームの文字。
「えっ、ホラー脱出ゲームですか」
「うん。面白そうじゃない?」
「そ、そうですね」
「でしょ?じゃあ早速行こっか」
そう言って先輩はホラー脱出ゲームと書いてある教室に向かう。
(やばい…俺、怖いの苦手なのに…)
俺は先輩の腕をぎゅっと掴む。先輩は立ち止まって不思議そうに聞く。
「どうしたの?」
「えっと…文化祭レベルだし、そんなに面白くないと思うんですよね。だから他の…」
そう言いかけた時、ホラー脱出ゲームの教室から悲鳴が聞こえた後ドアが勢いよく開き、男女が出てくる。
「めっちゃ怖かった〜」
「レベル高過ぎ。まじビビった」
それを見た先輩は無邪気な笑顔で言う。
「怖いって!楽しみだね!早く行こーよ!」
(そんな顔されたら…)
「はい…行きましょう…」
俺は諦めて先輩とホラー脱出ゲームの教室に入ることにした。
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