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『ありがとうございました…』
私達は、先生に深々と頭を下げた。
顔を上げたと同時に、私はたまらず床に座り込んだ。
『大丈夫?!恭香ちゃん』
一弥先輩が私を抱きかかえてくれた。
『朋也さん、大丈夫ですよね』
もう私、一弥先輩の前でも朋也さんって呼んでた。
『ああ、きっと大丈夫だよ。意識が戻って、また元気な本宮君に会えるよ。先生が無事に終わりましたって…言ってくれたの信じよう』
私は大きくうなづいた。
私達は、集中治療室に入った朋也さんが目覚めるのを待った。
ガラス越しに朋也さんが見える…
人工呼吸器をつけて…
ずっと目を閉じて動かない。
『お願い。目を開けて…』
一弥先輩が、交代で眠りながら待とうって言ってくれたけど…
でも、2人ともほとんど眠れなかった。
朋也さんはずっと目を覚まさない。
気づいたらそのまま朝になってた。
『恭香ちゃん、これ飲んで』
一弥先輩が、温かいコーヒーを買ってくれた。
警察も来ていろいろ聞かれたけど、私達には答えようもなかった。
防犯カメラに怪しい人物が写ってたらしくて、今、解析を急いでますとのことだった。
朋也さんが目覚めて、犯人が誰か…
直接聞きたいよ。
側に行きたいな…
手を握りたい。
朋也さんの温かい手を握って話しかけたい。
お願い、早く戻ってきて…
私を1人にしないで…
私は、夜中、朋也さんと出会ってから起こったことを一つ一つ最初から思い返してた。
朋也さんとのいろんな思い出。
それは、とても短い間に起こった、すごく濃くて意味のあるものだった。
その全てが大切で、幸せで…
一弥先輩のこと、もちろん…好き。
だけど…
私は…
ずっとずっと一途に私を想ってくれた朋也さんを…
自然に心の底から求めるようになってたんだ。
知らない間に、深く深く…