テラーノベル
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……それから俺は、何度も”戻った”
朝のチャイム。
窓際の光。
同じ席。
同じ笑顔。
同じ、始まり。
違うのは、
俺だけだった。
何度も死んだ。
線路に落ちた。
屋上から飛んだ。
薬を飲んだ。
車に突っ込んだ。
でも、
目を閉じると、
必ず同じ場所に戻る。
夢の中の教室。
ミオ「おはよ」
ミオが言う。
何も知らない顔で。
……いや。 違う。
知っているのは、
いつもミオだけだった。
俺が壊れるたび、
誰かが消える。
俺が選ばないたび、
誰かが削られる。
ユウ。
名前を呼べなかったあの子。
知らないまま消えた誰か。
回数を数えるのを、
やめた。
数えた瞬間、
人じゃなくなる気がしたから。
それでも、
分からないことが一つだけある。
――なぜ、 ミオだけが 残る?
何度やり直しても、
どの時間でも、
どんな選択をしても。
ミオは、
必ずいる。
笑っている。
怒っている。
泣いている。
そして、
必ず最後に言う。
ミオ「ごめんね」
その意味が、
やっと分かり始めていた。
_____
ある周回。
俺は、
初めてミオに聞いた。
「……君は、 何なんだ?」
ミオは、
少し困った顔をして、
でも逃げなかった。
ミオ「気づいちゃった?」
その言葉で、
世界が歪んだ。
教室の壁が、
紙みたいに薄くなる。
机が、
配置を忘れる。
ミオは、
俺を見る。
俺じゃなく、
“その先”を見る目で。
ミオ「あなたが戻るたびにね」
ミオ「帳尻、 合わなくなるの」
俺の喉が、
焼ける。
ミオ「だから、 必要なの」
ミオ「犠牲が」
…あぁ。
あぁ、そうか。
「君が… 選んでたのか」
ミオは、
否定しない。
ミオ「最初は、 偶然だった」
ミオ「でも、 あなたが 何度も戻るから」
ミオ「壊れる前に、 誰かを 壊すしかなくなった」
俺は、
笑った。
笑ってしまった。
「じゃあ……
君を救うために、 俺は
人を殺してたのか?」
ミオは、
首を振る。
ミオ「違うよ」
ミオ「あなたを救うために 私が
世界を壊してる」
その言葉で、
最後の何かが
切れた。
「……ふざけるな」
声が、
震える。
「何回だ……」
「あと何回、
俺が壊れれば」
「何人、
消えれば」
「君は、
満足するんだよ……!」
ミオは、
初めて泣いた。
ミオ「満足なんて、 しない」
ミオ「だって、 終わらせたら」
ミオ「あなた、 いなくなるでしょ?」
その瞬間、
理解した。
俺は、
“守られていた”んじゃない。
閉じ込められていた。
愛情で。
後悔で。
罪悪感で。
そして、
無限のやり直しで。
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