※注意※
※ウィンブレのとがとみ(?)だと思います
※下手くそです
※地雷・解釈違いはUターン
上記大丈夫ならどうぞ!
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十亀「最悪だなぁ~……」
少し遠くまで散歩に出かけていた帰り雨に降られてしまった
お店の軒先で雨宿りをするが雨は一向に弱まる気配がない
もう濡れる覚悟で帰ろうとしたらよく知る声が俺を呼び止めた
兎耳山「亀ちゃん?何してるの?」
十亀「あ、ちょーじか…散歩に出掛けてたら雨に降られてねぇ~」
兎耳山「傘は?忘れちゃったの?」
十亀「そうみたい…天気予報が外れて最悪だなぁ~って思ってたところなんだぁ~」
兎耳山「そっか…あ!」
ちょーじは何故か俺に傘を渡してくる
俺はちょーじとその傘を交互に見る
兎耳山「亀ちゃんに貸してあげる!」
十亀「え?でもちょーじが…」
兎耳山「俺はほら!上着被って帰れば大丈夫!だからほら!」
ちょーじは笑って俺の手に傘を持たせる
上着で雨をしのぎながら走り出して少ししたところでくるりと振り替える
兎耳山「亀ちゃん!またね!」
十亀「あ、う、うん…」
曖昧な返事をするとちょーじはまた走り出した
申し訳なく思いながら俺は借りた傘を差して帰り道を歩く
俺は明日傘を返そうと思っていた
その時まではーー
十亀「え?ちょーじ今日は来てないの?」
「はい…なんか風鈴の梅宮さんに会いに行く用事があるとかで…」
十亀「あ、梅宮に会いに行ったのねぇ…なら今日は俺も帰ろうかな…」
「伝言あるなら伝えましょうか?」
十亀「ううん、へーき…それじゃぁ~…」
「お、お疲れ様です…」
翌日傘を返そうと思い根城に行ったが今日は梅宮に会いに行ったため不在とのこと
少しでも会えたらと思ったんだけどなぁ
メンバーに傘を返しておいてもらうことも考えたけどなんか嫌で結局帰ることにした
帰りながらあることに気づいた
十亀「待って…この傘を返さなければちょーじに会う理由ができる…」
そうだ…忘れたってことにして返すのを少し先伸ばしにすればちょーじに会うことも話すこともできる
我ながら今思うとどうかしてるとは思う
けどその時は何故かちょーじと長く一緒にいたいって思う自分がそこにいた
兎耳山「亀ちゃん!おはよ!」
十亀「おはよぉ~、ちょーじはいつも元気だよねぇ~」
兎耳山「だって毎日楽しいもん!」
十亀「そっかぁ~…」
兎耳山「今日はいい天気だね!」
十亀「だねぇ~…あ、ちょーじ、ごめん…傘忘れてきちゃった…」
翌日、オリの屋上でぼーっといつもと変わらない景色を眺めていたらちょーじが俺を探しに来た
俺は少し罪悪感を持ちながら傘を忘れたと嘘をついた
ちょーじは気にしてる感じはなく寧ろ笑顔で言った
兎耳山「気にしなくていいよ!晴れてると傘って存在要らなくなるもんね!俺も小さい頃色んなとこに忘れた記憶あるよ!」
十亀「傘ってうっかり忘れるよねぇ~…昨日は持ってたんだけどぉ~…」
兎耳山「昨日は梅ちゃんのところに行ってたから…いなくてごめんね!」
十亀「俺こそ忘れてごめん、次はちゃんとに返すからぁ~」
また翌日俺は傘を持たずにちょーじとオリの屋上で話す
今日も忘れてしまったと俺は笑って伝える
ちょーじはやはり気にすることなく太陽のような笑顔で大丈夫とだけ言った
そんな日が何度も何度も続いた…
1週間経って、2週間経って……
気がつけば1ヶ月になろうとしていた
けれどちょーじは俺を責めてくることはなかった
いつもみたいに笑って…そそっかしいねって優しく言うんだ
その笑顔を見るたびに悪いとわかりつつも俺の何かが満たされていくのがわかった
けれどそんなことがずっと続くわけなんかなくて
そしてついにその日が来たーー
十亀「雨か…まるで神様が俺に怒ってるみたいだなぁ…早く返してやれって言われてるみたい…」
今日はもう忘れたなんて言えないな…
重い腰を上げて彼の傘を持っていつもの道を自分の傘を差して歩く
ちゃんとちょーじに今までのことを謝ろう…
それで傘を返してあげようーー
十亀「ちょーじ、はい」
兎耳山「さすがに今日は忘れなかったね!」
十亀「そのさ…長い間もっててごめんねぇ?」
兎耳山「ううん!気にしてないから謝らないで?俺そんなことで怒らないよ?」
十亀「ちょーじは…優しいよねぇ~」
根城の入り口前でちょーじに傘を返し謝罪もした
彼はいつもと変わらない眩しい笑顔で受け取った
これでいいはずなのになぁ…
ふと俺の目から温かい水が流れた
なんでこんなときに涙が出るのか…
ちょーじは俺が泣いてることに気づき慌てて声をかけてきた
兎耳山「か、亀ちゃん?!どうしたの?なんか嫌なことあった?俺が何かしちゃった?だとしたらごめんね?」
十亀「ち、違う…違うんだよ…」
兎耳山「大丈夫?」
十亀「だいじょぶ…ごめんねぇ、心配かけて…」
どうにか精一杯の笑顔を作る
きっと今の俺の顔はひどいと思うけどちょーじに心配をかけたくない一心で笑顔を作る
笑顔を作りながら俺は自分に問いかけ答えを探していた
ちょーじとはいつだって会えるはずなのに
傘を持ち主であるちょーじに傘を返しただけだ
なんともない行動なのに今まで満たされていた気持ちがなくなっていくような気がして
急にこの世界に1人になってしまったように錯覚する
そして1つの答えにたどり着いた
そっか…俺は寂しかったのかぁーー
兎耳山「亀ちゃん!途中まで一緒にいこ!あっ、傘一緒にはいろっと!」
十亀「え、ちょっ、ちょーじ?」
そんな俺の気持ちを知らずにちょーじはいつもの笑顔で俺の差してる傘に入ってくる
まただ…ちょーじがそばにいるだけで寂しいって気持ちが薄れていく
いつからこんなに俺はさみしがり屋になったんだろう…
兎耳山「あ、なんなら亀ちゃんの家に泊まっちゃおうかな!ね?いいよね!」
十亀「泊まってくれるなら俺も嬉しいかもなぁ~…一人じゃないから」
兎耳山「亀ちゃん…寂しいの?」
十亀「あっ…声に出てた?ごめんごめん、深い意味はなくて」
兎耳山「亀ちゃん」
ちょーじは優しく俺の手を握る
さっきよりも距離が近くなり俺はそっとちょーじを見る
本人は俺を見てにっこりと太陽のような笑顔を見せる
兎耳山「大丈夫だよ!亀ちゃんを一人にはしないよ!今度は俺が亀ちゃんに寄り添うって決めたから!」
十亀「………」
兎耳山「亀ちゃんが寂しくなくなるまで俺はずっと側にいる!」
十亀「寂しくなくなるまで…か」
そうだ俺はどこかでそう思っていたのかも
前みたいにちょーじが1人で手の届かないところに行っちゃうんじゃないかって
俺のことを必要としなくなるじゃないかって
俺じゃなくて梅宮を選んで置いていかれるんじゃないかって不安だったんだ…
兎耳山「亀ちゃん、今は寂しくない?」
十亀「ふふっ、そうだねぇ~…今は寂しくないかなぁ~」
兎耳山「不安ならいつでも俺に言って?俺には亀ちゃんが必要だから」
ちょーじはどうして俺の欲しい言葉をすぐにくれるのだろう
大事な仲間でかけがえのない相手
いつでも会えるはずなのに少し関係が変わるだけで寂しくなる
俺はこう思うんだ
その”いつでも”っていうのがいつどのような形で崩れるかわからない
一度経験したからもしかしたら敏感なのかもしれない
だからこそ俺は何でもいいから繋ぎ止める何かが欲しかったのかもしれないーー
【俺たちを繋ぐもの】END