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放課後。空気が少しだけあたたかくなって、春の匂いが混じっていた。
「ひかる、コンビニ寄ってこう?」
教室を出るとき、黒井がふと声をかけてきた。
「……買い食い?」
「うん。アイス食べたい。」
「お前それ毎回じゃん……まあ、俺もおにぎり買うし、いいけど。」
黒井は嬉しそうに笑って、光の横に並んで歩き出す。
制服のジャケットのすそが、並んで揺れていた。
「ひかる、今日はツナマヨにすんべ?」
「なんで知ってんの。」
「この前、鮭でちょっと後悔してた顔してたから!」
「……お前、地味に観察力あるよな。」
「そりゃ見るよ。ひかるのこと。」
何気なく言われた言葉に、光はちょっとだけ目線をそらす。
コンビニに着くと、マサは真っすぐアイスコーナーへ向かい、スイカバーを手に取る。
光は悩んだ末、ツナマヨを選んだ。
買い物を済ませて、2人は店の前のベンチに腰かける。
「やっぱりな。俺、今日は当たりな気がしてる。」
「何の?」
「アイスがちょっと溶けて、ちょうどいい感じの日。」
「……お前、そういうとこ変だよな。」
「ひかるが変じゃないとこにいるから、俺が変なだけだよ。」
光は、ちょっとだけ笑った。
夕陽に照らされながら、何気ない時間が、心地よく流れていった。