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#異世界ファンタジー
99
「やっと『楽ダ』を手に入れられるぞ……!」
一人バックレ城にやってきたクロは、城の外から続く長い階段を上がりきり、『知恵の扉』の前に立っていた。細かい細工が施された扉は、誰かに開かれるのを静かに待っているかのようだ。
「いよいよか」
クロが扉に手をかけた時……。
「ファフォフォフォ。よくぞ、ここまで来たな」
まるで城が喋っているような、不思議な声がクロに取り巻いた。
「だ、だれ?」
「ファフォフォフォ」
「もしかして、貴方がアンドロマリウス?」
「いかにも。わしこそ、世界中の宝のありかを知り尽くし、あらゆる知恵を身につけているアンドロマリウスじゃ」
翼を広げた大きな影が、扉の前に幻のように浮かび上がる。
「あ、貴方に会いにきたんです。姿を見せてください!」
「姿を見せてどうなる?そなたがここにきた理由は、わかっておる。フォフォフォ」
アンドロマリウスの笑い声がこだまする。
「どうか俺の望みを叶えてください!」
「心配せずとも良い。望みの叶う時が来たのだ。そなたは『楽ダ』が欲しいのじゃろう?」
「はい。俺の望みは、一生ラクして暮らせるという……」
その時、からの頭にはウルフと花子の顔がよぎった。躊躇っていると、再びアンドロマリウスの声が響く。
「はっきり望みを述べよ!」
「俺の望みは……、友達を……石になったウルフと花ちゃんを元の姿に戻してもらうことです!」
「え!?それがそなたの望みなのか?『楽ダ』は、いらんのじゃな?」
「はい!」
クロは力強く頷いた。
「そうか」では、扉の向こうに望むものを用意しよう。扉を開くと良い」
そう言うと、アンドロマリウスの影はスーッと消えてしまう。知恵の扉にゆっくり文字が浮かび上がってくる。
「『この扉が開く時、もう一つの宝も現れるだろう』か」
そう告げると扉は開き、そこはたくさんの妖怪たちのパーティ会場になっていた。そして無事、ウルフと花子と再会できたクロであった。
「二人とも!お待たせ」
コメント
1件
読み終えました。クロが「楽ダ」じゃなくて、ウルフと花ちゃんを元に戻す方を選んだところ、すごくじんときました。自分の楽より友達を取るって、簡単な決断じゃないですよね。アンドロマリウスの「『楽ダ』は、いらんのじゃな?」という問いかけに迷いなく「はい」と答えたクロの目が、ちゃんと見えた気がしました。扉に浮かんだ「もう一つの宝」って、もしかしたら友達との絆そのもののことなのかな……。温かい気持ちになりました🌷