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賞味期限切れ

19 - 第19話 私(美和子)がやりたいこと

2025年01月11日

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◻︎恋愛小説



ひとしきり弥生の話を聞いて、電話を切った。


『ありがとう、電話してくれて。誰かに話したかったんだけど、なかなかそんな友達もいなくてね…』


と最後に言われた。


「やっぱりさぁ、誰かに聞いて欲しかったんだよね、弥生さんも。女は話したがりで誰かに話しを聞いて欲しい生きものなんだよ」

「そうだね、私もそんな時ある。でもまさかサイトで知り合った人のところに行くなんてね」

「ありのままの私でいいって言ってくれたからって言ってたけど…ありのままってなんだ?ありのぉーままのー♪」


礼子がふざけて、歌い出した。


「もう、妻でも母でも嫁でもない、自分自身でいいと言ってくれたってことかな?」

「あ、つまり、私と美和子が脱皮するって言ってるのと同じかな?」


_____恋?自分自身?


礼子の話を聞きながら、私は頭の中で別なことをぐるぐる考えてた。


「あのさ、礼子、私、恋したい」

「それ、こないだ聞いたぁ!」

「なんていうか、理想の男とか理想の恋ってわからないけど。それを目指して何か書いてみたい」

「へ?何を?」

「携帯小説とか…」

「美和子が?」

「うん、どうかな?まえから思ってたんだけど、私らくらいの世代向けのラブストーリーって見ないよね?でも、今の弥生さんの話を聞いてたらさ、若い頃とは違う、50代だからこその恋愛ってあるんじゃないかなぁって思って」

「おいおい、弥生さんの話を書くの?」

「ヒントにはする、礼子の恋バナも」

「いいと思うけど。私の恋バナは私が恋してからにしてちょうだいね」


カラン!とグラスの氷が溶けた。


「おかわり!」

「酎ハイでいい?」

「うん」


私は、当面のやりたいことを“恋愛小説を書くこと”にした。

それも紙ではなく、電子媒体で。

主人公になりそうな女と、相手の男を思い浮かべてみる…。


「ねぇ礼子、女の賞味期限って言うけどさ、それ、男にもあるよね?」

「なんで?」

「女ばかり不公平じゃん?」

「だね。とりあえずはさぁ、いい男でも探してみたら?で、実際に恋して、それを小説にしてみたら?書きやすそう!」

「そりゃそうだけど、無理」

「なんで?」

「恋はするものじゃない、堕ちるものだから」


私は真面目に答えた。


「頑張って!未来の小説家さん」


礼子がグラスをカツン!と当てた。


恋は堕ちるもの…

まさか自分が堕ちてしまうとは、その時は予想もしなかった。












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