────────────ザッ…
いつも通り前を歩いていたメテヲを足が突然止まる。また『バケモノ』が出てきたのかと不安になりながら、俺も一旦その場に立ち止まる。
「ごめん、ちょっと気持ち悪くて…」
「少しだけ待ってもらっていい?」
メテヲが聞いてくる。そう言っているメテヲの顔は、確かにいつもの数倍顔色が悪そうだった。
「全然いいよ、俺もちょうど少し休憩したいなと思ってたんだよ」
これはお世辞とかではなく、本心だ。本当はこんな所で休んでいる場合ではないのだろうが、疲れていては出来ることも出来なくなる
それに、いつもメテヲに助けらればかりいる俺がこんな所でわがままを言っていては、話にならない
少し歩いた先にあった見晴らしの良い所
そこで俺たちは少し休むことにした。
「本当につきあわせちゃってごめん」
申し訳なさそうにして謝ってくるメテヲ。こんな事で謝るのなら、俺は1日の間に一体、メテヲに何回謝らなければいけないのだろう
「大丈夫だよ」
そう、素っ気なく返す俺。本当はめっっちゃなぐさめてやりたいのに、腹が減ってきているせいか、まともに返す言葉が見当たらない
せめて、少しはメテヲに見返しをしなければといつも思っているのだが、俺がメテヲに勝てることなんて頭ぐらいしかない。
…だけど、こういう時こそ少しぐらいは役にたとう。その唐突に浮かんできた1つの思いが頭の全てを支配する
「俺、少し周りを見てくるよ」
そう言い、立ち上がる。その様子を見てメテヲは案の定止めようとしてくる。
「今は危ないよ…さっきのバケモノがまた出て来るかもしれないし…」
そんなことは知っている。だけど、この言葉に甘えていたらいつもと何も変わらない。
だからこそ、俺はその言葉を拒絶する
「俺…少しはメテヲの役に立ちたいんだ…」
「少し周りを見てくるだけだから!」
今言った言葉がメテヲに聞こえていたかは分からないが、気付けば俺は走り出していた。それほどまでに俺はメテヲの役に立つことを望んでいたのだろうか
────────────ぜえっ…はぁっ…
さっきメテヲにむかって言った『少し周りを見てくるだけ』というのは嘘だ。
本当は『バケモノ』の肉をメテヲのもとに持って帰って、少しでもメテヲに楽をしてもらおうと思っていた….が
道に…迷った
勘でなんとなくの肉の位置ぐらい分かるだろうと慢心していたが、全くもってわからない
「どうしようか…」
少しずつ、心に不安が降り積もる。
その時だった。目の前に黒い影が現れる。それは紛れもなく、俺たちが忌み嫌う『バケモノ』の形をしていた
コメント
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ヤバイヤバイヤバイヤバイ
とても早いですね!!! 正直自分に当てはめるとこんなスピードでの投稿は無理なので 本当に尊敬の1文字です!(?)