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「この駅、夜だと雰囲気違うな。」
「確かに、暗くなってからは来たこと無いですね。」
「でも、よく覚えてましたね。ここに来るまでの道順…。」
「そりゃもちろん。3人で行動する時はだいたいこの駅を使ってただろ?体に染み付いているんだ。」
「ライの妹にあったのもこの駅だしな。元気にしてるかな?あの子…」
「元気だといいね。」
(もちろん、元気にしているよ。僕に少しカマをかけているようだけど…)
《間もなく、2番線に快速列かが参ります。
黄色い線の内側に立ってお待ちください。》
「やっとだな。久しぶりにギター持ったから、少し疲れた…。」
「持とうか?」
「ゼロは優しいな…」
「…僕が持ちたいんだ」
ーーーーーー
「ありがとう」
「スコッチの援護射撃が無かったら、今頃僕背中にナイフが突き刺さってた…」
「オレ、少し焦ったよ!あまりにも後ろに気が付かないから…」
「でもゼロなら、気がつくと思ったんだけど…」
「あはは…かいかぶりすぎだよ…」
(今目の前にいるのがヒロじゃなく、組織の人間だったら…僕を殺そうとした相手を撃って僕を守るなんて事はしないはず…)
(本当にこの人…ヒロなんじゃないのか…?)
「あのさ、スコッチ…」
「どうした?」
「何で僕の事…守ったの?」
「何でって…オレが守りたかったからだよ…」
「や、やっぱり…本当に…ヒロなんだな!?」
「えっ、当たり前だろ?」
「……」
「帰ろうか。」
「うん」
ーーーーーー
ガタン…ゴトン…
バーボンとスコッチは、自分たちの家へと帰るため電車に乗り、和やかな会話をしていた。
「そういえばヒロって、波土禄道の雪の堕天使って曲好きだったよな?」
「うん!雪の堕天使は高校生の頃からのお気に入りだよ!」
「でもよく覚えてたね!ゼロはああいうハードロック系は、あまり聴いていなかった気がするけど…。」
「最近、聴く機会があってね。そういえばヒロが聴いてたなと思って。」
「ゼロが覚えててくれるなんて、嬉しいよ…」
「けど波土さん、自殺しちゃったんだよな…。ニュース見た時は結構ショックだったよ。」
「でも、気持ちは分からなくもないな。産まれてくる子供のために作ろうとした曲の歌詞が書けなくて自殺って…。」
「オレも多分そうするよ…。」
スコッチの言葉に内心驚くバーボン。
(やっぱりヒロはこういう人なんだな。)
それから、10分程無言の時間が続いた。
「あと二駅だな。」
(ん…?)
バーボンはスコッチの顔をのぞき込む。
(寝てるのか。)
「おい、ヒロ…」
(あっ…)
(どこに入れた?)
バーボンは、スコッチの上着やポケットの中を探る。
(あった…!)
スコッチの上着の内ポケットの中から拳銃を抜き取り、自分の内ポケットに入れる。
(いや…ここじゃダメだ…)
スコッチの拳銃と自分の拳銃を、スコッチのギターケースの中へ入れ直した。
「…ヒロ、もうすぐ着くぞ。」
寝ているスコッチの肩をトントン、とする。
「あ…悪い、寝ちゃってたか…。」
「久しぶりの仕事で疲れたよな。ギター、持つよ。」
「ありがとう。悪いな…。」
ーーーーーー
2人は電車を降り、改札を出る。
「じゃあオレ、ジンに報告するよ。」
「あ、ありがとう…。」
スコッチはワイシャツの左の胸ポケットからスマホを取り出し、ジンに電話を掛けた。
「もしもし…ジン。」
「バーボンとの任務…完了しました。」
「はい…。では失礼します。」
スコッチはスマホを耳から離し、胸ポケットに入れた。
「報告、終わったよ。」
「え?あ、ありがとう…。」
スコッチを見つめるバーボン。
「どうした?オレ、何か付いてる?」
「いや、何も付いてないよ…」
「あ…これ、ギター持って帰れる?」
「うん、あとは家に帰るだけだから。ありがとな。」
「じゃあオレ、こっちだから…またな。」
「うん…また…。」
バーボンとスコッチは反対方向に歩き出した。
20分程歩き、自宅の前に着いた。
バーボンが部屋のドアを開けようとした時、横目に人影が見えた。
(…!)