テラーノベル
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ち び
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「あの、それでね…?どうしたら、強くなれるかなぁ」
僕の今の最大の課題を、僕が思う世界で一番強くてかっこいいヒーローに聞いてみた。
『んー?強く?』
「うん、はやちゃんみたいに強くなりたいの、」
『強く…ね~。それは、心を強くしたいってことだよな?』
「うん。力もだけど、いちばんは心かな」
『なら、まずは強くなるための理由を明確にすること。そして何より、自分自身を信じてやることだな』
「強くなる理由は……もうはっきりしてるよ。まずは自分を自分で守れるようになって、はやちゃんに心配をかけないようにしたい。そして、大切な人のことも……今度は僕がちゃんと守れるようになりたいから」
『おー、かっこいいじゃん! 言うようになったなぁ!』
「へへっ。でも……自分に自信を持つには、どうしたらいいんだろ……」
『そうだなぁ〜……。自信を持つには、まずは自分をちゃんと知ることからじゃないか?』
「……、自分を知る……?」
『そう。今、お前は自分のことをどういう奴だと思ってんの? 率直に言ってみ?』
「うーん……弱くて、いざという時頼りにならなくて、他人の顔色ばかり伺って生きてて、優柔不断で、ひょろひょろで、ネガティブで……」
『おーーーい! やめやめっ!!!!! 終了ーーーー!!!!!』
「っえ……?」
はやちゃんが大袈裟に両手をバタバタと振って、僕の言葉を強制終了させた。
まだまだ他にもたくさん、自分の駄目なところなんて挙げられたのに。
自分のことは自分が一番よく分かっている。
どうしようもなく情けなくて、弱くて、汚れてしまったやつだって。
『え?、じゃねぇーわ!! お前、自分のことボロクソに言いすぎだろ。そんなんじゃねぇだろ……!』
「……、だって…」
それしか思いつかないんだから仕方ないでしょ?
そんな僕を見かねて、はやちゃんは再び僕に問いかけた。
『 あ、じゃあ逆に、自分の好きなところはどこよ?』
「え、好きなところ……?」
『そう、好きなところ。自分のここは良いなって思うところ言ってみ?』
「……うーん……、」
……。
正直言って、何ひとつ見つからなかった。
自分をどれだけ客観的に見つめ直しても、こんな傷だらけでメソメソしているやつと一緒にいたいなんて思えない。
自分の好きなところなんて、ただのひとつも、持ち合わせていない。
『おいおい、そんなに真剣に考え込むことか?』
「……だって、俺のいいところなんて……ひとつもないもん……」
自分で口にしておきながら、自分の価値のなさに胸がキュッと苦くなって、自分で勝手に悲しくなっていく。
『はぁ?何言ってんの? お前の良いところなんて、死ぬほどあんだろ!』
「え……?」
戸惑う僕の視線を余所に、はやちゃんはソファーの上で身を乗り出すと、急に凄まじい熱量で力説し始めた。
『まずは、めちゃくちゃ優しくて、人の痛みが自分のことみたいに分かるところ! そしてその傷ついた気持ちに、どこまでも寄り添ってあげられるだろ? 俺はお前のそういうところが、本当に大好きなんだわ。あとは、何事にも真っ直ぐ真剣に取り組めるところだな! 成功させるための努力を絶対に惜しまないところも、男としてめっちゃかっこいいと思う! あ! あとはな、めちゃくちゃ気が利く!! なんていうか、周りをいつもよく見ているから、色々な小さな変化に気付けるんだろうな。それに、誰に対しても細やかな気遣いができるところもまじ尊敬してる…!あとはなっ』
「ちょっ……! はやちゃん! も、もういいって! 恥ずかしいから、ストップ……っ//」
はやちゃんがあまりにも流暢に、淀みなく僕のことを次から次へと褒めちぎるものだから。
顔が爆発しそうなくらい恥ずかしくなって、僕は慌てて身を乗り出し、彼の口を自分の両手でむぎゅっと塞いだ。
けれど、はやちゃんは僕の手を強引に引き剥がすと、真剣な目で僕を見つめる。
『っおい! まだ終わってねぇ! いいから最後まで黙って聞けって!!』
「あ……え、う、うん……」
彼の、見たこともないほどの真剣な気迫と勢いに完全に圧倒されて、僕は大慌てで手を引っ込め、大人しく彼の言葉に耳を傾けることにした。
to be continued..
コメント
3件
更新、ありがとうございます!山中くんに対する、佐野くんの熱量がよーく、伝わりました。 情景があっという間に浮かんでくる回でした。自己肯定感が低い山中くんの気持ちも、自信をつけさせたい佐野くんの気持ちも、痛いほどよく伝わってきました。 この物語、それぞれ(主要人物3人)が優しさを持っていてすごく暖かみを感じます。 次回も楽しみにしています!