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冬季限定。短編集

16 - 16 【悪夢】

♥

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2025年01月31日

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『俺、他に好きな人できたのでもう湊さんとは一緒に暮らせません』

『……うそ…だよな……?』

『うそじゃありません』

『おい…待て…待ってって!シンっ!!』

「シンっっ!!」

自分の声で目が覚めた。目を開けるとベッドの上にいた。

「夢…か……」

呟いて息を吐く。

夢だとしても、見たくはない夢だった。

頬が冷たい。

夢を見ながら泣いていたみたいだ。

「縁起でもねぇ…」

クッと苦笑いをした。

バタバタと走ってくる足音が近づいてきて、ドアが勢いよく開いた。

「どうしたんですかっ!湊さんっ!!」

湊の声は、シンの部屋まで聞こえたみたいだ。

「なんでもねぇよ…」

顔をそむけ頬を伝った涙をシンにはわからないように袖でぬぐった。

「怖い夢でも見たんですか?」

隠したつもりだが、シンにはバレてしまっていたみたいだ。

「怖い…?まぁ…そうだな……」

シンが居なくなるのは確かに怖い。

「良かったら…今夜は一緒に寝ましょうか?」

夢では離れて行ってしまったシンが、現実では近づいてくる。

真逆じゃねぇか…。

そう考えると正夢にはならなそうだ。

「そうだな…一緒に寝ようか…」

布団を持ち上げシンを誘う。

「……いいんですか?」

始めての交わり以降もけじめをつける為、寝室は別のままでいた。

だから、戸惑うシンの気持ちもわかる。

でも、今夜は一緒にいたいと思ってしまう。夢の続きは見たくない。

「湊さんの隣で寝たくないなら部屋に戻れっ」

「寝たいです!」

即答するシンに笑ってしまう。

「だったら早く来いよ。さみぃだろ…」

「は…はい…」

緊張した面持ちでシンは、お邪魔します…そう言って湊の布団に入る。

シンに背中を向け横になると、後ろから抱きしめられる。

「どんな夢…みたんですか?」

湊は返答に困った。

お前に捨てられる夢を見て泣いていた。なんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。

「…忘れた」

そう言って誤魔化した。

「湊さんを怖がらせるなんてどんなヤツなんですか?許せないです」

お前だよ……。

湊は心の中で呟く。

背中に感じるシンの温もりが心地よい。

「なぁ…シン。明日、学校早いのか?」

「いえ。明日は午後からです…」

それを聞いて湊はシンの方に身体を向け、首に腕を巻きつける。

「怖い夢みないで済むような深い眠りにつきたいんだけど…」

つまりは、疲れることをこれからしたい。と言う意味だ。

シンが優しく微笑む。

「お誘い…と、捉えて構いませんか?」

シンには伝わったみたいだ。

「そういうことに…なるな…」

照れる湊の腰を引き寄せ口づけ

「時間無制限でもいいですか?」

意地悪く言った。

「おじさんはそこまで体力が持たねぇよ」

「深い眠りにつけますよ」

「起き上がれなくなるわっ」

「そこは加減します」

「いや、お前は始まったら手加減無しだからな…」

「今夜は加減しますよ」

「今夜だけかよ…」

「明日も明後日もお望みなら」

「ばーかっ!調子に乗るな。明日はなしだっ!!」

「じゃあ、明後日」

「……それは」

吶る湊に

「無理強いはしません。湊さんがそうして欲しいって言ってくれれば俺はいつだって…」

「本当かよ…じゃあ…とりあえず今夜は加減気味で…」

「わかりました。明後日は…また教えてください」

湊はうつむきながら頷いた。

夢のように、シンが離れてしまうなんてありえない。そんなのはわかっている。だけど、心のどこかでもしかしたら…と、不安になってしまっていたのかもしれない。

湊の服をはだけさせながらシンは唇を湊の肩に這わせた。

「はぁっ……っ」

反り返る湊の腰を引き寄せ夢中で抱いた。

本当に加減するんだろうな…。

心配する湊の予想は的中した。

息を切らしことが済んだのは明け方近く。

最後の方は、睡魔と戦いながら声をあげていた。

終わったと同時に深い眠りにつく。

無防備に眠る湊の髪にふれ優しく撫でると、寒くないように引き寄せ抱きしめシンも眠りについた。

明日からは、自室から枕を持参して一緒に眠ろうと企みながら…。


【あとがき】

さっき思いついたお話を簡単に…。

お久しぶりの、短編集です笑

忘れていたのは内緒です…


それでは、また…

2025.2.1

月乃水萌

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