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この出会いは偶然なのか。はたまた神様が恵んでくれた奇跡なのか。
新たな年度になり私も心を改め始め、新しい先生も各校からたくさんやってきた。
今思えば、その時から私は一目見ただけの彼女を気になっていたのかもしれない。
私は英語科の先生。彼女は国語科の先生。全く立場が違うというか、接点というものがない。ただ同じ教師でたまたま同じ学年をもっているというだけ。
…と思ってたけど、話す機会は何とか得られた。
それはある日の飲み会終わりのこと、他の同じ学年陣の先生も切り上げて帰った中、私は彼女に頼まれて2人きりの二次会?に連れ込まれた。
「かおりちゃぁぁん、送ってよぉぉ〜」
「嫌ですー、なんでですか徒歩で帰れるでしょう距離的に!」
「むぅ、いじわる〜。…あ!泊めてもらえたら文句言わないよね!」
「もっとダメです!!」
神様にぜひ問いたい。なぜこのタイミング?しかも酔ってるし、この人お酒強かったはずだよね…??なんか…セクシーというか、エロ…ああもう、何考えてんの私。
ひとまず私の家が距離的に彼女の家より近いし今日は仕方ないけど泊めてあげなきゃだな。
いいもんね、どうせ何もないんだから。どうせ…。
「…かおりちゃん、ダメ…?」
「〜っ、分かりました行きましょう私の家!」
「やった〜♪かおりちゃん大好きっ!」
かなり酔って甘えたさんになった彼女は私に抱きついてきた。もうやめてほしい。心臓が色んな意味で抉られる。…あれ?なんか離れてくれない…どしたんだろ、と思って目をやってみたら彼女は半分寝かけていた。
「ちょっ、ねえ清水先生起きて!」
「ん…、もう少しだけ寝る…」
「嫌です起きててください!…まったくもう。完全に寝たし」
首元にかかる彼女の寝息と耳元に近い彼女の顔が更に私を壊そうとしてきている。
ひとまず家に着くまで理性は保てたがかなり限界だった。
「…ふぅ、なんとか着いた。
…相変わらず寝てるじゃん、」
いつまで寝てるのこの人。 起きてくれてもいいのに、とお酒の強い彼女に対して思ったのが始まりだったのか、私は深く眠っているであろう彼女の唇に深くキスした。
━━━━あれ、なんでだろ。なんかすごく切なくて涙が出そう。
どうしてこんなに無邪気で無防備な貴方を追いかけることができないの??
彼女に対する変な嫉妬で心が駆られそうだ。
もうこんなくだらない恋なんて辞めてしまいたい。そうした方が気が楽だ。
少しだけ外の風でも当たって気持ちを切り替えしなきゃと思いベットから立ち上がろうとしたところ、腕を引っ張られてベットに倒れ込んだ。
「ぅわっ!?…どうかされましt…「…なんで泣いてるの…??」」
「…え」
「ううん、表現が違ったわ。…どうしてそんなに今にも泣きそうな暗い顔してるの?」
「…まさか、私そんな顔してます??先生まだ酔いが覚めてないんですか?」
「…嘘つくのも大概にしなさいよ」
「…へ、…わ、きゃっ!」
いきなり変なことを言い出してなんだこの人はと思った束の間、なぜか腕を固定し私を睨むような目付きで見つめ私に跨る彼女が目の前にいた。
「っ、ねえちょっ、動けないんですけど」
「だって固定してるしそれはそうでしょ。…それに私は酔ってませんー、というか最初から酔っ払ってなかったし」
「んなっ、騙しましたね私のこと…!」
「ごめん私こういうとこもあるの。…んで、話変わるけど、なんでそんなに悲しい顔してんのよ。私のこと嫌い?」
「…急ですね。好きか嫌いかで言われたら…嫌いです、ほんとに大嫌い。」
なんと答えるか悩んだ挙句、嫌いだと、ほんとに大嫌いだと言ってしまった。
ほんとは好きで、大好きすぎるのにどうして素直にならないんだろう。
もう嫌われてもいいや。むしろ嫌ってくれ。
「そう。…でもじゃあなんで嫌いなのに私のこと家に入れてくれたのさ、わざわざ大嫌いだって言う程私のこと嫌ってるわけではないんでしょう?」
「まだあの時はセーフでした。でも今は嫌いです。もう目も合わせたくない。鬼。悪魔。」
「…ふーん。」
適当な相槌だけ打った彼女は私から離れ、帰ろうと玄関へ向かった。
え、やだ帰らないで。ほんとはすごく寂しいの。大好きなの。嫌いなんかじゃないのに。
絶対嫌がられるけど彼女を引き止めに私も玄関へ向かい、外に出ようとする彼女に抱きついた。
「…やっぱダメ、いかないで」
「…どうして?さっき散々目も合わせたくないとか悪魔だとか言ってたのに?」
「や、あれはちがくてですね…」
「違わないから。違うって思うならせいぜい自分の言葉で反省文述べることね。私はそれまであなたとは話さないから。」
彼女は私を振り払って外へ出ていった。
もう追いかける気力も出ない。確かに9割は私が悪い。しかしあれだけダメージ大きいことを言われるといくら私が悪いとはいえちょっとムカつく。
しかも明日学校だし。もうなんなのよあの人。
こんなこと忘れてやろうと彼女の香りとお酒の匂いがが少し残ったベットに潜り込み、私は深い眠りについた。
それからというものの、やはり気まずいままである。 職員室の座席が隣じゃないだけまだマシだ。
ここ数日の間に、ちっちゃく切りとったメモ帳に「ごめんなさい」って書いたものを彼女の机の上に置いたり彼女が好きなカフェラテも淹れたり長文の反省文書いたりと、色々仕込んだりはしてみたのだが全部進展もなく終わった。特に前者はビリビリに破かれてゴミ箱にポイされたからね??
「はぁーー…。 」
「円道先生、どうかしましたか?」
「あぁ今井先生、お疲れ様です。
ちょっとプライベートな悩みというか。」
「…顔もなんかやつれてませんか??
よければお話聞きますよ、どこか行きますか?」
「へ、いいんですか…!?ぜひ行きましょう行かせてください!!」
「…と、つまり円道先生は清水先生のことかが大大大好きだと」
「そうなの、でもあのミス清水が私に対して冷たい女してるわけよ、腹立つ!!!」
「まあまあ円道先生、落ち着いて…」
「…私は大好きなのに。大嫌いだって言っちゃったからなのかな…」
「…、まあそうですね、好きが故に大嫌いって言ってしまったのは間違ってたと思います。清水先生も気が長い方ではないですし、悪い風に受け取るのも無理ないですよ。」
「やっぱそーーだよねぇ…。…ものすごく謝りたくて長文の反省文書いたりあの人が好きなカフェラテも淹れたんですよ。
でも全部ダメ。謝ったところでもう無理なのよ…。」
「…折れないでくださいよ、私も一緒に考えるのでなんとしてでも仲直りしましょう…!それにこういうのってね、意外とお酒が活躍してくれるんですよ。」
「 …よし、そのためにもちょっと飲ませて〜。」
「うぇっ、まああんまり飲みすぎないでくださいよ、私今回は自宅まで送れませんからね!!」
「わかってるってー、!」
悩みもだいぶ晴れていったところ、私はめっちゃ酔っ払っていた。
「ふふ、ゆーかちゃん好き〜。」
「ありがとうございます…、、あの人の前でもこんな感じでいてくださいよ」
「やだ」
「即答しない!」
「だって、あの人やっぱり私のこと嫌いな感じするし…もぉやだぁぁ。」
「それは分からないじゃないですか、嫌いオーラ全開の割には愛が重いってことも有り得ますよ」
「そうであって欲しいけどねぇ…。 …ちゃんとお話しなきゃ誤解されちゃう…。」
「…お呼び出ししましょうか?」
「やだ、今情緒不安定の中こんな話してもあの人は聞く耳もたずじゃないですか、」
「ですよねぇ〜。…実はもう呼んでるんですよねって言ったらどうします?」
「……は?」
何を言い出すのこの人。
もう呼んでるって、いや普通に考えてどういうことよ??
…さっき「私は今日送れませんからね」って言ったのはこういう事だったのか。
まさか鬼の形相して店前にいるとか…身の毛よだつ寒気とともに酔いがなんとなく冷めてきた。
「ついさっきから鬼の連絡が来てたんです。かおりちゃんに変な手出ししてないよね??とか早く連れてこいとか」
「(あれ、私愛されてる…??)…でも、顔は合わせたくないかも…。」
「…それだと一生分かり合えないですよ、だから1回腹を割って思ってること言ってみたらどうなんですか。何かしないとそのうち誰かに取られますよ。」
「それだけはいや!!よし話してくる!」
「よしきたぁ!んじゃ、今日は私の奢りということで。どうやら店前にいるようですし今すぐ行ってあげてください。」
「ありがとう今井先生…!今度何かお礼するね…!! 」
今井先生からも助言をもらい、ひとまず店の外へと向かった。
「…あ、」
「……、」
なんか気まずい。えなんでこんな気まずいの?この人との距離感ってこんな感じだったんだ私。
そして顔を合わせるとやっぱり怖い。ある意味顔面凶器。冷酷。
でももう逃げられないの、私ちゃんとしなきゃ。
そんなことを思っていたうちに、気づいたらまあまあ強い力で腕を引っ張られてお姫様抱っこをされた。
「わ、ちょっ、どこ行くんですか!駐車場逆ですよ…??」
「…」
突然の姫扱いにも驚きだがこれは相当怒ってると考えた。なんかほんとに申し訳ございませんでした。
どうしよう何をするべきなの…??
てか私は一体どこへ向かおうとしてるんだ。聞いたところできっと教えてくれないし、学校から居酒屋までは今井先生が運転しててくれたからあいにく道とかはあんまり覚えてない。
それでもやはりあの人はなにもしゃべってくれる訳でもなく、30分ほど音のない時間が続いた。
すると急に多分彼女の家前で立ち止まりだし、鞄から鍵を取り出してドアを開けた。
そのまま寝室へであろう部屋に連行され、私は少し乱雑にベッドに放り捨てられたかと思ったら彼女が距離感ほぼゼロのところまで近づき、あの時のように腕を固定された。
「…無自覚人たらしの大裏切り者は誰よ、言いたいことも直接言いに来ないし」
「…ごめんなさい」
「分かればいいのよ分かれば。
別にキレるほど私は子供ではないし大丈夫よ。」
と、笑ってない張り付けられた笑顔で私にそう答えた。もうさっきからほんとに怖い。
「んで、結局私のことは好きなの?」
「…好きです、大好きなんです…!
一目見てからずっと目で追っかけてました。
気持ち悪いですよねこんなの。お気になさらなくて大丈夫でs「…私も」…へ??」
「いや…、っと、やっぱ聞かなかったことにして」
「嫌でーす、…あ。でも何かしらしてくれたら聞かなかったことにしますよ?」
少し意地悪い笑みを浮かべて彼女に答えた。さあどうくるのか。
「じゃあさ、これならいいでしょ?」
そういい、彼女は私に熱いキスを降り注げた。
「ん…っ、ちゅ、っちょっ!」
「んー??…ふふ、顔真っ赤。」
「いや、それは違くて…」
「でもドキドキしてたんでしょ?あ、それとも何、もしかしてもっと違うことしてほしかった?」
「〜ッ、いじわる…!!」
「…なんか、ごめんね。あなたが書いたちっちゃいメモも怒り任せでビリビリのポイってしちゃって。あと数日間フル無視してて。」
「いえいえ、むしろこちらこそ先生に誤解を生むようなことばかりで…ほんとにごめんなさい」
「あなたがいった“大嫌い”って、ほんとはすごく大好きなのにそれを正直に言えない“大嫌い”だったのね。わたし国語科の教師なのになんで分からなかったんだろ…」
「いや、あれは確かに誰でも誤解を生むような感じでした…、、でも、先生も私のこと好きなんだなぁって。だって好きじゃなかったら家泊めてとか言わないでしょう?」
「まあそうね、好きよ。この上ないほど愛してる。
…付き合ってくれる?」
顔を赤面しながらぽつぽつとしたような感じで喋りだした彼女がそっとわたしに問いかける。
さっきのキスのお返しかのように、私は耳元へ顔を近づけ、囁いた。
「もちろんです。愛してます」
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