テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「…そうやって完全に否定できないのが何よりの証拠だと、そう思わないか?」
「………」
「…まあいいさ。話を本題に戻そう。聞きたいことは、 私の提案に乗る“メリット”だったな」
「…もう傷つきたくないだろう?家族を失って、恩人を失って…。もう心は限界のはずだ」
「…たまに少しぐらい、全てを忘れて休みたいと考えたことはないか?」
「…私ッッ…、はッッ…」
「…もうこれ以上大切な人を失うより、…そんな人は最初から存在しなかった。全ては優しい幻だった。
…そう思う方が、楽じゃないか?」
「………」
…それでも、私は…
…これ以上、…大切なものを失いたくはッッ…!
「…ッッ、私は、そんなこと、願ってなんかッッ…」
グッッ…
「………!?」
またしても、後ろに手を引かれる。
目をやると、そこには小さな男の子がいた。
だが暗さのせいか、顔はよく見えない。
「…君、は…?」
「…ねえ。もう…やめようよ…」
「……何、を…?」
「……た…す…と」
「………?」
「……期待すること……」
「……ッッッ」
…期待すること?
どういう意味かわからない。
…いや、わかってはいた。
…ただ信じたくなかっただけ。
…現実から目を背けたかっただけ。
「…どういうこと…ですか?」
#ご本人様には関係ありません
炭酸@サイダー🌠💙🎧️
39,766
奏月世良
266
炭酸@サイダー🌠💙🎧️
148
莉白
416
男の子は、声を荒げていった。
「…ッッ君だってわかってるだろ!!!
この25年間生きてきて、どれほど世の中が醜かったかッッ!!!
…どれほど大人が信用ならないかッッッ!!!
…どれほど大切な人が君を裏切るかッッッ!!!
…言わなくても…君なら…わかってくれるでしょ…」
…その男の子の顔は見えなかった。
…だが、静かに泣いていることだけはわかった。
……ああ、そうか、この子は……
…だから、私が選択すべき答えは…
「…さあ、結論は出たかな?」
“神様”とやらが私に問いかける。
…もう、答えは出ている。
「…忘れてください。…彼らから、私の周りの人から、…私のことを」
…まどかさん。…誠一君。
…ごめんなさい。
「…承った。…ただし、相当大きな契約だからな。当然、注意事項や…代償もある」
…代償?
「…それは一体…」
「まあまあ慌てるな。まずは注意事項からだ」
「一つ。契約が履行されたら、もう二度と
“彼ら”には会わないこと。
まあ“彼ら”とは無論、《スワロウテイル》の二人のことだ。
まあ会っても何もないが、君のことを思い出す可能性があるからね。
…万が一、思い出してしまったら、契約不履行だ。そうなった暁には、君か、君の大切な人たちに罰がくだる」
「…罰?」
「無論内容は私にもわからない。その時の気まぐれだ」
「…わかりました。彼らに会わなければいいんですね」
「ああ。…二つ。君が《スワロウテイル》から抜けたら、《スワロウテイル》は実質二人体制になる。
そのため、私が代わりに彼らの記録者になる」
「…え?」
「…彼らも、自分たちが最初から二人体制だということに当然疑問を持つだろう。
そのため、代わりに私が人間として《スワロウテイル》の記録者になる。
…まあ、君の監視役と言う意味でもな」
「………」
私は鋭い目つきで神を睨む。
「…彼らに危害は加えませんよね?」
「もちろんそんなことしない。安心してくれ」
「…さて、では最後。これが一番重要だ」
「…三つ」
「ーーーを君からもらう」
「…わかりました」
コメント
1件
第7話、読みました。主人公が「期待すること」をやめろと言われて、それでも抗おうとするのに、結局は誰よりも大切な人たちを守るために自分の存在を消す選択をする…。その静かな諦念と覚悟が切なくて、胸がぎゅっとなりました。「忘れてください」の台詞に、どれだけの想いが込められてるんだろうって。まどかさんと誠一君の名前を呼ぶところで泣けました。次の展開、気になります。