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深夜2時。
配信を終えた葛葉が、リビングに戻る。
「……疲れた」
ソファを見ると、ローレンが膝を抱えて座っていた。
「何してんの」
『……起きてた』
「もう寝な」
『……くっさんの配信、長かった』
「いつもだろ」
『……今日は』
『ちょっと、落ち着かなかった』
葛葉は近づいて、隣に座る。
「何かあった?」
『……今日さ』
『コラボで、楽しく喋ってたろ』
「まぁな」
『……俺』
『ああいうの見てると』
『置いてかれそうで』
「……は?」
『……馬鹿なのは分かってる』
『でも』
『くっさん、どんどん遠く行く気がして』
「……何それ」
ローレンは俯く。
『俺、仕事だし』
『配信もくっさんほどじゃないし』
『……釣り合ってないかなって』
「……」
葛葉は、ローレンの額を指で弾く。
『痛』
『何するんだ』
「変なこと考えてるから」
『本気だって』
「本気でアホ」
『ひど』
「遠く行くなら」
「そもそも一緒に住んでねぇだろ」
『……それはそう』
「俺が毎日帰ってくるのも」
「隣にいるのも」
「偶然だと思ってんの?」
『……思ってない』
「ならいい」
ローレンは少し黙る。
『……くっさん』
「ん」
『俺がいなくなっても』
『平気だったりする?』
「しねぇよ」
即答だった。
『……即答すぎ』
「考える余地ねぇし」
ローレンは、ぎゅっと服を掴む。
『……じゃあ』
『俺が弱くなった時』
『ちゃんと、捕まえて』
「逃がす気ねぇ」
『……言い切るな』
「言い切る」
ローレンは、少しだけ笑う。
『……ずるいな』
「どっちが」
『そういうとこ』
葛葉はソファにもたれかかる。
「ほら」
『何』
「来い」
『……子供扱い』
「いいから」
ローレンは少し迷ってから、葛葉の横に寄る。
『……あったかい』
「今さら」
『……夜になると』
『余計、考える』
「考えるな」
『無理』
「じゃあ」
葛葉は、ローレンの頭に顎を乗せる。
「俺のとこにいろ」
『……すぐ簡単に言う』
「簡単だろ」
『……好き』
「知ってる」
『……くっさん』
「何」
『……離れんなよ』
「離れねぇって」
夜の部屋は静かで、モニターの明かりだけがついている。
ローレンはそのまま目を閉じた。
『……おやすみ』
「もう寝るのか」
『安心した』
「……単純」
『単純でいい』
葛葉は、ローレンの髪を軽く撫でた。
「おやすみ」
同じ部屋で、同じ夜を過ごす。
それだけで、十分だった。