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れんは、ふっと口元だけをゆるめた。


目元は髪に隠れたまま。

口角だけが、ほんの少し上がる。


声は出さない。

でも、笑った “形” だけがそこにあった。


問いかけるような笑み。

「どうしたの?」と、口だけが言っているような。


けれど、その笑みは――この場にあるどんな温度とも違った。


やさしいとか、柔らかいとか、そういう単純な言葉じゃない。


記憶の奥底。

忘れていたはずの場所。

遠く、小さな日差し。


懐かしい。

思い出せないのに、懐かしい。


太陽のように暖かい。

けれど、触れようとしたら、指の先で消えてしまう光。


その「笑い方」に、10人は同時に息を止めた。


冴は、理由を考えることを一瞬やめた。

凛は、胸の奥に妙な焦燥が走る。

潔は、あの笑みを「知っている気がした」。

蜂楽は、なんだか泣きそうになった。

玲王と凪は、言葉が抜け落ちたまま、ただ見つめるしかない。

千切は胸が痛いとは言わない。ただ、何かが締めつけた。

黒名は息の吸い方を忘れた。

カイザーは笑わなかった。ただ、まぶたが少しだけ震えた。

ネスは、結論づけられなかった。


れんは喋らない。

ただ、口だけで笑う。


その一瞬に確かにあったのは、


「会ったことなんてないのに、会ったことがある気がする」


そんな、ありえない既視感。


太陽みたいに優しいのに、

なぜか、触れてはいけない。

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