テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
2件
どうやったらこんな神作品書けるんですか!
葛葉視点
最近、ローレンが少し距離を取ってるのは分かってた。
話せば普通。
笑えばいつも通り。
でも、前みたいに踏み込んでこない。
(……何だよ)
俺が卒業近いから?
この前の嫉妬の件?
考えるの、正直だるい。
でも、放っとくのはもっと嫌だった。
放課後、教室に残ってるローレンを見つける。
「ローレン」
「……なに、くっさん」
その“先輩”って距離感が、無性に気に食わない。
「最近、避けてね?」
「そんなことない、よ」
即答。
でも、目を合わせねぇ。
「なぁ」
机に手ついて、少しだけ声落とす。
「俺、なんかした?」
沈黙。
しばらくして、ローレンがぽつり。
「……先輩は、自由だよね」
「は?」
「誰にでも優しくて」
拳をぎゅっと握ってる。
「俺だけが、必死みたいで」
あー……最悪。
「ローレン」
「俺」
「努力嫌いで、説明下手で」
頭を掻く。
「でもさ」
一歩近づく。
「ローレンにだけは」
低く、真っ直ぐ。
「誤解されたままなの、無理」
ローレンが顔を上げる。
「俺が選んでんのは、お前だ」
「それ以外、考えてない」
沈黙のあと、
ローレンの目が揺れた。
⸻
ローレン視点
自分でも分かっていた。
距離を取ってるのは、俺だ。
怖かった。
先輩の世界に、俺がいなくなるのが。
「俺だけが、必死みたいで」
口にした瞬間、後悔した。
重い。
面倒だって思われる。
……そう思ってたのに。
「誤解されたままなの、無理」
葛葉先輩の声は、逃げなかった。
「俺が選んでんのは、お前だ」
その一言で、全部崩れた。
「……先輩」
声が震える。
「俺、離れたくなくて」
「うん」
「……っだから、怖くて」
葛葉先輩は、少し困った顔で笑う。
「俺も怖ぇよ」
「え、?」
「卒業しても」
視線を逸らしつつ。
「お前に嫌われんの」
……そんな顔、反則だ。
一歩近づく。
額が触れる距離。
「じゃあ」
小さく言う。
「一緒に怖がろ」
一瞬、驚いた顔。
それから、ゆっくり笑った。
「それ、いいな」
キスはしない。
でも、指先が絡む。
(戻ってこれた)
そう思えた。
⸻
その後
翌日から、また元通り。
廊下では先輩後輩。
放課後は、少し近い距離。
変わったのは一つだけ。
——不安になったら、ちゃんと話す。
「なぁローレン」
「なに」
「卒業してもさ」
「うん」
「俺、お前の居場所でいるから」
ローレンは、少し照れたように笑う。
「じゃあ俺は」
「ん?」
「先輩の帰る場所だね」
夕焼けの校舎。
二人の影は、離れず並んでいた。